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2011年07月29日 14:09:35
掛け算の九九について少し書こうと思います。
子供の頃、この九九の表を、反転すれば約半分しか覚えなくて済むと気付き、半分しか覚えなくてその後苦労した経験を持ちます。
なぜ苦労したのでしょうか?
それは、計算速度が極度に遅くなってしまったからです。
8×6を計算するのに、6×8=48などと計算しないといけなくなったのが、その理由です。
この苦労の理由は、プログラムを書くようになってから明確に分かりました。
九九の表は、脳内のメモリにfinalな9×9の配列変数を置き、そこに答えをあらかじめ書き込んでおき、配列の参照だけで計算結果が出るようにするためのものです。
ここで左右対称の表だからと、「大きい数字×小さい数字なら逆にする」という変換を行うと、if文1つと、数値を入れ替えるための変数の確保が必要になります。
これは、処理が遅くなるとともに、エラーが生じやすくなる原因となります。
人間の脳は、処理過程が増えれば増えるほどエラーの発生率が高くなります(発生率が高くなるのは、脳内の一次メモリが貧弱だからです)。
結果として、私は計算速度が遅くなり、計算ミスが多くなり、その後学校の数学でけっこう苦労しました。
よく、丸覚えが非難されますが、それは脳の使い方を正しく認識して非難しているか疑問に思うことがあります。
「考える」ことが尊いのではありません。「尊い」ことをするために勉強しているわけでもありません。
「脳を上手く使う」ために、何よりも「現実社会で生き抜く」ために勉強をしているのです。
学校教育は、ある意味、脳のハードウェアとしてのスペックをチューニングする過程です。
ですから、暗記を非難するのではなく、それがどういった結果をもたらすのかを、「脳のハードウェア特性」という観点から、考える必要があると常々思っています。