映画「ブラック・サンデー」のDVDを四月下旬に見ました。
1977年の作品で、監督はジョン・フランケンハイマー、脚本はアーネスト・レーマン、原作はトマス・ハリス。
テロ系の話で面白かったです。ただ、映画の撮り方か、犯人側の方に強く感情移入してしまう映画でした。
あと、音楽がスター・ウォーズっぽくてジョン・ウィリアムズかなあと思って調べたら、ジョン・ウィリアムズでした。
● 無差別テロ映画
この映画は、無差別テロを行うグループと、それを阻止しようするとグループを描いた作品です。
テロを行う側は、女性工作員を代表とする国際テロ組織の人間と、ベトナム戦争帰りの飛行船のパイロットです。
防ごうとする側は、イスラエル特殊部隊の人間とアメリカの警察たちです。
テロリストたちが狙うのは、スーパーボールの会場にいる人間の皆殺しです。
映画の序盤は、その追跡劇とともに、どうやって数万人を一気に殺害するのか、その手法をじわじわと明かしていきます。
あまり見たことのない方法で、なかなか凄まじかったです。
こういった映画は、その「あっと言わせるテロ手法」が重要だと思います。
そういう意味では911以降は、この手の話はハードルが上がったなと思います。
● ハードなサスペンス
かなりハードなクライムサスペンスになっています。
こういった物語に重要なのは、その事件の重要度が徐々に上がっていくことだと思います。
最初は単なる爆破テロと思わせておき、そこからスーパーボールの観客皆殺しに話を大きくし、そこに大統領が観客として来ることで、国家レベルの犯罪にランクを上げる。
そういった危機のインフレがきちんと出来ているので、じわじわと危機感が募り、手に汗握る展開になっていました。
● 感情移入
ここ最近、ヒッチコックとトリュフォーの「映画術」を読んでいました。
そこでヒッチコックが語っていたのは、「人間は、追われる人間、追い詰められる人間に感情移入する」ということです。
その人間が主役か敵か、正義か悪かなど関係なく、危機に瀕している人間に感情移入する。
この映画もそうでした。危機また危機に陥るテロリストたちに強く感情移入する映画でした。
● 未公開映画?
この映画は、77年公開の映画ですが、日本では「上映すれば映画館を爆破する」という脅迫があって公開がお蔵入りされたそうです。
2011年より上映を開始したとのことですが、今になってなぜ?という気はしました。
● 粗筋
以下、粗筋です(ネタバレあり。終盤の最初まで書いています)。
国際テロ組織が爆薬をアメリカ本土に運び込んできた。その中心にいるのは、一人のアメリカ人と、彼と行動を共にする女性だった。
アメリカ人は、ベトナム帰りの飛行船のパイロットだった。彼は抱える鬱憤の解消を、スーパーボールの観客皆殺しで果たそうとしていた。
女性は、イスラエルと抗争を繰り広げる組織の人間だった。彼女は組織と連絡を取りながら、アメリカ人のテロ行為の段取りを整えていた。
そんな女性の敵となる人間たちがいた。イスラエルの諜報員だ。彼らは、事件を追ううちに、女性の存在に気付く。そして、彼女やその組織が何を企んでいるのか探ろうとする。
諜報員たちは、慣れないアメリカで手荒な捜査を進めていく。彼らの動きに、組織の者たちも気付く。そして、諜報員の一人は殺害される。
アメリカ人は、着々とテロの準備を進めていく。彼は、スーパーボールの会場を空撮する飛行船のパイロットだった。彼は飛行船の底部に爆薬と無数の短針を仕掛けて、会場を殲滅する作戦を進める。
だが、障害が起こった。彼は当日の撮影担当を外されたのだ。
意気消沈するアメリカ人を女性はなじる。彼は奮起し、目的を遂げるために、同僚を殺害して、自分が飛行船に乗り込み、殺害計画を始動させる……。