映画「宇宙大戦争」のDVDを六月下旬に見ました。
1959年の邦画で、監督は本多猪四郎、原作は丘美丈二郎、脚本は関沢新一。音楽は伊福部昭。メカデザインは小松崎茂。主演は池部良です。
それなりに面白かったですが、今見るといかにも特撮映画で、特撮映画ファンでないと、もうさすがに古く感じて、面白くないだろうなと思いました。
● SFと科学者と時代
この映画と、少し前に見た「妖星ゴラス」(1962年)で感じたことですが、この時代は、科学というものが「人類を明るい未来に導いてくれるもの」として信じられており、科学者というものが「人類を未来に導く人々」として捕らえられていたのだなあと思いました。
もう少し経つと、科学は人類を幸せにしてくれない、科学によって人類は不幸になるといった考え方が強くなります。
こういった映画を見ると、時代の空気感の違いを強く感じるなと思いました。
● SF公証
この映画は1959年のものです。この映画の舞台は月の裏側です。そして、アメリカのアポロ計画は1961年から1972年に掛けて行われました。
なので、当時の知識で作られたこの映画と、現実の世界は大きく違います。
SF公証は行われているのですが、現在判明していることは、まだ分かっていなかったりします。
そういった前提でこの映画を見ると、色々と感慨深いものがあります。
たとえば、月で移動機械がホバークラフトで移動したりしていますが、これは当時の学説の一つ「月面の一部に希薄な大気が存在する」というものを援用したものだそうです。
また逆に月の裏側の図解は、1959年10月4日、ソ連の無人探査機「ルナ3号」が世界で初めて撮影に成功した月面裏側の写真に基いて作図されたものだそうです。
Wikipediaには、こういった解説が載っていて、ちょっと面白かったです。
□Wikipedia - 宇宙大戦争
● 粗筋
以下、粗筋です。
地球で怪事件が多発する。それは、地球外生物が発射する冷却線が原因だった。地球は敵の脅威にさらされている。敵は地球の降伏を求めてきた。
地球の科学者たちは、開発間もない熱戦砲で応戦することを決める。そして、月に討伐隊を送り込む。
だが、敵は地球人を操る方法を持っていた。乗組員の一人が、脳にチップを埋め込まれて、敵の手先になっていた。
内部に裏切り者を抱えたまま、討伐隊は熱戦砲を携え、月の裏に降りる。そして、地球外生命体の秘密基地に迫って行く。