映画「死霊のえじき」のDVDを七月下旬に見ました。
1985年の作品で、原題は「DAY OF THE DEAD」。監督・脚本はジョージ・A・ロメロ。主演はロリ・カーディルです。
特徴的なキャラが多くて、なかなか面白かったです。
● ロメロのゾンビ三部作の第三作目
この映画は、ロメロのゾンビ三部作の第三作目です。
・「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生」(1968年)
・「ゾンビ」(1978年)
・「死霊のえじき」(1985年)
ゾンビが発生して、世界に広がった後、人類がほんの少しだけ残った世界が舞台になります。
この映画というか、ロメロのゾンビシリーズは非常に愛されています。それがよく分かるのが、この映画に付いていたDVDの特典映像です。
特典映像はインタビューになっていて、映画スタッフたちの様々な話が収録されています。
その中でピッツバーグの人たちの熱狂振りのエピソードが出てきます。ピッツバーグでは、ロメロのゾンビに出ることがステータスだそうです。
そして、映画中では、ピッツバーグの名士たちがゾンビになってクリエイティブなゾンビを演じた様子が語られています。
二十年にわたったシリーズなので、最初の頃の映画を見て、親がスタッフだった人が主人公をやっていたりと、非常にアットホームです。
もうなんか、ファミリーで作っているという感じです。そしてロメロが非常に人生を楽しんでいそうなおじいさんとして登場します。
そういった部分も含めて、ロメロのゾンビは面白いなあと思いました。
● マッドサイエンティスト、ローズ大尉、バブ
この映画には、非常に記憶に残るキャラクターが出てきます。
一人はマッドサイエンティストのローガンです。ともかくこのキャラが強烈です。映画の中でも、特に記憶に残るマッドサイエンティストです。
この人は頭が切れて、マッドなだけでなく、非常に弁が立ちます。奇矯なところはどこにもなく、非常に真面目なのに、考えていることややっていることが常軌を逸しています。
非常によいキャラでした。
そして、彼が教育しているバブというゾンビ。これもよかったです。
知性を少しだけ持っているこのゾンビは、ゾンビが進化するということを予感させるキャラです。この少しコミカルさを感じさせる演技が素晴らしかったです。
そしてローズ大尉です。
強権的で下種な人間の象徴です。いやあ、いい憎まれ役です。ラストも含めて、美味しい役でした。
● 地下での撮影 ラストのスプラッタシーン
この映画は、ほぼ全てが地下の洞窟で進みます。そして、ラストは壮絶なスプラッタシーンになります。
この撮影について、DVDの特典映像ではスタッフたちが語っていました。
まず、地下ですが、ずっと地下の撮影で大変だったそうです。数ヶ月太陽を見ないような生活が続いたそうです。映画を撮るのは大変だなあと思いました。
そしてスプラッタシーンですが、これは本物の臓物を使っているということでした。冷蔵庫で臓物を冷やしておいて、使いまわすそうです。
しかし、ローズ大尉のラストのシーンでは、冷蔵庫が壊れており、凄まじい悪臭の中で撮影が行われたそうです。
うわあああ、と思いました。
● 予算
ほぼ地下のシーンで進むこの映画ですが、実は元々七百万ドルの予算だったけど、三百万ドルになって、大規模な野外シーンがなくなったとのことでした。
まあ、半分以下になれば、どうしようもないですね。そのバージョンも少し見てみたかった気がしました。
● 粗筋
以下、粗筋です(特にネタバレなしです)。
主人公は科学者の女性。世界はゾンビに包まれ、彼女はゾンビに対抗する方法を探っていた。
彼女たち科学者は、軍人たちと共に、地下の洞窟に住んでいた。軍人たちは、成果を上げない科学者たちに苛立ちを募らせていた。そして、科学者たちの研究を打ち切らせようとしていた。
主人公は、仲間の科学者や、マッドサイエンティストとともに、研究を進めようとする。
しかし、閉鎖空間では、徐々に不和が芽を吹き、人間たちの間での対立が激化していった。