映画「エイリアン・ネイション」のDVDを八月上旬に見ました。
1988年の映画で、監督はグラハム・ベイカー、脚本はロックニ・S・オバノン。主演はジェームズ・カーンとマンディ・パティンキン。
移民宇宙人によるバディ物刑事映画で、なかなか楽しめました。
● エイリアンと地球人によるバディ物
この映画は、典型的なバディ物です。二人のタイプの違う刑事が、難事件に挑みます。
通常のバディ物とは違う点は、主人公の一人がエイリアンで、追う事件がそのエイリアンの秘密に関わるということです。
エイリアンたちは、故郷の星では労働力を確保するための奴隷として使われており、その被支配の生物的な特性を利用した陰謀が、事件の鍵となります。
そのため、単にタイプの違う刑事が組むというよりは、主人公側の社会の代表と、異世界の社会の代表が、異世界の事件に挑むという構図になっています。
そして、そのエイリアン側の社会を描く、SF的な作品にもなっています。
● 移民宇宙人
移民宇宙人という本作の設定で真っ先に思い出したのは「第9地区」(2009年)です。
宇宙から移民がやって来て、地球に根を張るというのが非常に似ていて既視感があります。
とはいえ違いもあります。「第9地区」ではエイリアンは隔離されていますが、本作では地球の社会に溶け込み、華僑社会のようなものを作っています。
そういう意味では純粋なエイリアン物というよりは、「移民」というところに重点が置かれた作品になっています。
対して「第9地区」では、「宇宙人」というところに重点が置かれているように思えます。
似たような設定ですが、そういう意味で、けっこう違うところもあるなと思いました。
● 粗筋
以下、粗筋です(ネタバレあり。中盤後半ぐらいまで書いています)。
地球に宇宙人が移民して来てからしばらく経った。彼らは体力も知力も優秀で、アメリカ社会に根付き2世が誕生するまでに至っている。
主人公は刑事である。その職場に、初の宇宙人刑事がやって来た。主人公は相棒を殺されたばかりで、その犯人は宇宙人だった。宇宙人社会の捜査には宇宙人の相棒がいた方が都合がよい。主人公は宇宙人を相棒にして捜査を進める。
その過程で、宇宙人たちの故郷での背景が分かり始める。
宇宙人たちは、故郷の星では奴隷として使われている種族だった。彼らはある種の化学物質に麻薬のような反応をする。その薬で支配され、奴隷として扱われていたのだ。
宇宙人の中で、その薬を製造して、支配を目論む者たちが現れた。このままでは、故郷の再来になってしまう。宇宙人刑事は、その事実を握り潰し、事件を解決しようとする。
主人公と宇宙人は、それぞれの目的のために捜査を進める。そして徐々に友情を育み、敵を追い詰めていく。