映画「ゲッタウェイ」のDVDを八月中旬に見ました。
1972年の映画で、監督はサム・ペキンパー、原作はジム・トンプソン、脚本はウォルター・ヒル。主演はスティーヴ・マックィーン、ヒロインはアリ・マッグロー、敵役はアル・レッティエリ他。
銀行強盗+逃走劇の映画。緊迫した展開で、最後まで楽しめました。面白かったです。
● 逃走劇
この映画のシナリオは、複数の要素が入っています。
・銀行強盗
・逃走劇
・ロードムービー
・追跡劇
・男女の恋愛劇
ざっと挙げたところで、こんなところでしょうか。これが次々に出て来て、サクサクと進みます。
映画の冒頭が刑務所で、そこから交渉で出所して、その交渉の対価として銀行強盗の計画を立てて、銀行を襲撃して、その後仲間割れがあり、出資者のところに行き、出所できた謎が分かり…というのが序盤の展開です。
下手をすればここまでで一本の映画になりそうな内容が、ぎゅぎゅっと圧縮されており、一気に進みます。
そして逃走劇が始まります。この逃走劇が、単なる逃走劇ではなく面白かったです。
● 追跡劇
この映画では、逃走劇に三つの追跡劇が加わります。
一つは普通に警察です。
もう一つは、出資者側の人間たちです。彼らは、主人公を捕まえ、金を奪って殺そうとしています。
そして最後の一つがこの映画ならではの展開です。銀行強盗で仲間割れした人間が、主人公を執拗に追跡します。さらに、そこで獣医の夫婦を銃で脅し、その妻をやりまくりながらブルドーザーのように追いかけてきます。
この最後の追跡劇が圧巻です。なかなか面白いです。
内容は違いますが、「ノーカントリー」(2007年)を思い出したりしました。
この密度感は凄いなと思いました。
● 恋愛物
この映画は、恋愛要素もあります。
主人公は結婚しています。奥さんは美人です。
この奥さんとの「愛しているからこその葛藤」が、なかなか見物でした。
というか、けっこうヘビーです。NTRはきついです。精神的に。主人公も悶絶していました。
● オープニング
この映画、オープニングのシーンだけでも絶品です。映像とフラッシュバックで、何の台詞もなしに映画のバックグラウンドを語り尽くします。
このシーンだけでも、勉強のために何度か見たいと思うオープニングでした。
● 俳優
スティーヴ・マックィーンが格好いい。キャラ自体は、けっこう小悪党なのですが、スティーヴ・マックィーンが演じると、えらく深みのある渋いキャラになります。
そして、その妻のアリ・マッグロー。スティーヴ・マックィーンと夫婦だったそうですが、彼女がいいです。
どちらかというと、ちょっと大人しめで、少し清楚っぽくて、無国籍な感じの美女です。アメリカ的美女というよりは、おっぱい小さめで、お尻小さめで、アメリカでは少しロリめの感じのすらっとした女性です。
映画の設定や話の展開と合わせて色気を感じました。
でも、この人の演じている奥さんは、けっこうミスが多いなあと思いました。映画中、色々と失敗しますし。
さて、この映画で一番異彩を放っていたのは、アル・レッティエリです。まさに野獣。そして雄。ブルドーザーのような馬力で、主人公たちを追ってきます。
彼が非常に印象に残る映画でした。
● 粗筋
以下、粗筋です(いくつかネタバレあり。中盤に入ったところまで書いています)。
主人公は犯罪者。彼は刑務所に入っている。
主人公には妻がいた。主人公は彼女に、有力者の許に行って、釈放を得られように便宜を払ってもらうようにする。
主人公は出所する。そして妻と喜びを分かち合う。主人公はその代償として、銀行強盗を指揮することになる。主人公には仲間があてがわれる。主人公は計画を立て、銀行強盗を決行する。
金を得た主人公は銀行を後にする。しかし、仲間の一人が下手を打ち、死人が出る。また、仲間の一人と金の奪い合いになり、その男を撃つことになる。
主人公は、金を山分けするために、有力者の許に行く。そこで有力者は、自分が主人公の妻を寝取ったことを告白する。保釈されたのは、その取り引きがあったからだと主人公は知る。
銃撃戦の末、有力者は死ぬ。主人公は妻と喧嘩をするが、結局二人で逃避行に出ることになる。
主人公は、警察や、有力者の兄弟に追われることになる。さらに、仲間割れしていた男が生きていた。撃たれた男は、復讐のために主人公を追う。
今回、この映画のことを調べていて行き当たったページ。なかなか面白かったです。
□シネマ・イラストレイテッド - ゲッタウェイ - デスパレートな"夫婦善哉"