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2011年12月16日 15:22:14
八つ墓村
 映画「八つ墓村」のDVDを八月下旬に見ました。

 1977年の作品で、監督は野村芳太郎、原作は 横溝正史、脚本は橋本忍。寺田辰弥役は萩原健一、森美也子役は小川真由美、金田一耕助役は渥美清。

 いやあ、てんこ盛りのエンターテインメントでした。

 特に、津山事件をモデルにしたシーンが凄かったです。桜舞い散る中で、頭に懐中電灯、たすきがけで銃弾、手には刀と猟銃で、ふんどしなびかせ疾走するシーン。どんだけやねんと思いました。

 凄かったです。そして面白かったです。



● 主人公への圧力

 この話は、主人公への圧力の掛け方が凄いです。

 物語は、主人公に不幸が襲い掛かれば襲い掛かるほど盛り上がるのですが、その畳み掛けが凄まじいです。

 これでもかというほど、不幸が連鎖的に起きて、主人公がボロボロになっていきます。

 それも、数日の間に、逃げ場のない状態で、あり得ないというほど不幸が降り注ぎます。

 これは物語の基本を押さえているなと思いました。



● 津山事件

□津山三十人殺し事件

□Wikipedida - 津山事件

 元の事件もまあ凄いのですが、映画の大量殺人の描写も凄かったです。

 桜吹雪が舞い散る中で、頭に懐中電灯を差し、たすきがけで銃弾を掛け、手には刀と猟銃を持ち、ふんどしをなびかせて疾走するシーンは特に強烈でした。

 そして、惨殺シーンも凄かった。最近の邦画では、こういった惨殺シーンは見ないので、けっこう強烈です。

 この一連のシーンだけも、この映画は価値があると思いました。



● ロケーションの力

 ロケーションが非常によいです。DVDにはドキュメンタリーも付いていたのですが、この映画の各シーンは、全国から選りすぐりの土地を探して、ばらばらに撮影されたそうです。

 まあ、建物から洞窟まで込みで全部揃っている場所は存在しないでしょうから、そうなるのも頷けます。

 ロケーション探し、どうやったのかなと凄い気になりました。



● てんこ盛りのエンターテインメント

 これでもかというほど、エンターテインメント要素が出てきます。以下、列挙します。

・連続毒殺事件。
・美人の未亡人との恋。
・盆地の閉鎖的な村。
・古いお屋敷。
・八つ墓村の伝説。
 ・毛利対尼子の確執。
 ・落ち武者。
 ・首塚。
 ・呪い。
・病弱な兄。
・双生児の老婆。
・秘密の地下道。
・鍾乳洞。
・地底湖。
・鎧武者姿のミイラ。
・村民三十二人の惨殺事件。
・金田一耕助。
・主人公の出生の秘密。

 次から次に現れるエンターテインメント要素に圧倒されました。密度濃いなあと思いました。



● 金田一耕助

 あまり活躍していません。というか、事件の背景を調べただけで、何の解決もしていません。

 影が薄いです。

 この映画の金田一耕助は、渥美清なのですが、寅さんにしか見えません。というか、寅さんのすりこみが強すぎるので、勝手に脳内変換されてしまいます。

 あまりにも強烈で大きなヒット作を持っていると、そのイメージに引きずられてしまうなあと思いました。



● 森美也子

 美人の未亡人。

 男のようにサバサバしていて、むっちり、どっしり、がっしりという存在感で、エロさを感じます。

 なんか色気あるなあと思いました。



● 粗筋

 以下粗筋です(大きなネタバレはなし。中盤を過ぎた辺りまで書いています)。

 父がおらず、母を早くに亡くした主人公は天涯孤独だった。彼は空港でメンテナンスの仕事をしていた。

 そんな彼を探している人物が現れる。その老人は、主人公を田舎に連れて帰ろうとする。田舎には主人公の血縁の者たちがいるという。その老人は、主人公と対面した弁護士事務所で毒殺された。

 主人公は、老人の葬儀に参加するために、まだ見ぬ故郷に帰る。彼は故郷を一度見ておきたいという希望と、父のことを知りたいという希望を持っていた。

 故郷は盆地の底にある村だった。閉鎖的なその村の雰囲気に主人公は馴染めない。

 主人公の実家は、その地方の大地主だった。彼には兄がいたが瀕死の病で寝たきりであった。その家を取り仕切る老婆二人は、主人公に跡を継がせようとしていた。

 その村で、人が次々と毒殺される。村人たちは、主人公が来たせいだと考える。

 村は、かつて八つ墓村と呼ばれていた。落ち武者八人を殺した呪いを受けているという。そこでは過去に凄惨な連続殺人事件があった。主人公は、自分の父がその犯人だと聞かされる。

 主人公は、恐ろしいこの村から去ろうとする。しかし、去ることは叶わず、どんどん事件に巻き込まれていく。
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