映画「PERFECT BLUE」のDVDを九月下旬見ました。
1998年の作品で、監督は今敏、原作は竹内義和、脚色は村井さだゆき、主役の声優は岩男潤子です。
八十一分の長さで、ちょっとメタ的精神世界展開で、なかなか面白かったです。今敏は、後に「パプリカ」(2006年)も映画化しているので、こういう話は好きなのだろうなあと思いました。
というか、「千年女優」(2001)もメタ的展開だし、「妄想代理人」(2004)もそれ系の話みたいなので、そういう方向性の監督なのかなと思います。
● 序盤の絵
映画が始まって冒頭、アイドルのコンサートがあるのですが、この画面がほとんど動かず「大丈夫か?」と思いました。
まあ、その後動くようになり、気にならなくなったのですが。
モブシーンは、予算がリアルに見えてしまうなあと思いました。
● アイドル+ストーカー
この映画は、アイドルとそれを追うストーカーの話です。
現在の熱狂的な声優ファンたちを見ていると、こういった話もそんなに珍しいことではないのだろうなと思いました。
また現在ですと、ネットが非常に発達しているので、そこから行動履歴を探られやすいので、ストーカーにとっては天国だと思います。
そういった意味で、怖い話だなと思いました。
● インターネット
この映画は1998年の映画です。その時代で、インターネットが鍵になっています。けっこう先進的だと思います。
映画中で、主人公がウェブを見るために、パソコンと通信の設定を行ってもらいます。これが、かなり珍しい光景として描かれます(そして伏線になります)。
今では割りと普通の光景だけど、当時は珍しかったのだろうなと思いました。
● ミスディレクション
上手い具合にミスディレクションを行っています。
詳しく書くとネタバレになってしまいますが、答えが出てくると、「ああ、そうだよな」と納得します。
映像を使って、上手く誘導しているなと思いました。
● アイドルの踊り
DVDには、スタッフのインタビューが入っていました。そこの情報でなるほどなと思ったのは、アイドルの踊りです。
これは、実写で振り付けを行い、それを元にアニメ起こしをしているそうです。
そういえば、全部ゼロから手で書くのは大変だよなと思いました。
● 味のあるキャラ
映画に出てくるキャラはどれも癖のあるキャラです。
これは監督の方針で、アニメのテンプレ的なキャラではなく、現実社会にいそうなキャラということで作成されたそうです。
実写の映画に近い印象を与えるのは、こういったキャラ作りによるのかなと思いました。
● 商店街のアーケードの上
インタビューでは、終盤に登場する商店街のアーケードの上のシーンについて言及がありました。
非常に珍しい光景だということを強調していたのですが、子供の頃によく見た場所なので、言われて初めて、そういった光景なのだなと思いました。
実家が商店街で商売やっていたので、アーケードの上は普通に見ていたので。
● 今敏
インタビューは監督の今敏も登場します。煙草を凄い勢いで吸っています。
不摂生な生活をしていたようですが、もう少し健康に気を使ってくれていればなあと少し思いました。
● 粗筋
以下、粗筋です(ネタバレ少々あり。終盤の最初まで書いています)。
主人公は三人グループのアイドルユニットのセンター。彼女は女優の仕事が多くなってきた。事務所は彼女の女優への転進を企画する。
主人公はアイドルから離れて、ドラマの端役で登場する。ドラマは、サイコサスペンスだった。彼女の役は汚れ役で、ファンは幻滅する。
そういったファンの中で、ストーカー的に彼女を追い掛けている人間がいた。主人公は、その相手から脅迫を受ける。
また、精神的ストレスから、主人公は現実とドラマの区別が付かなくなる。
そして主人公のストレスは頂点に達し、彼女をアイドルに引き戻そうとする本当の敵から攻撃を受ける。