映画「地球爆破作戦」のDVDを十月上旬に見ました。
1970年の作品で、監督はジョセフ・サージェント、原作はD・F・ジョーンズ、脚本はジェームズ・ブリッジス。主演は エリック・ブレーデン です。
冷戦下の、コンピュータによる人類支配を描いた作品。なかなか面白かったです。
● 自給自足が可能な人工知能
この映画は、冷戦下で、防衛を一手に担う超コンピュータが出てきます。このコンピュータは、あらゆる事態を想定して、山の奥深くに、自給自足が可能な状態で作られています。
そのため、外部から完全に自立していて、独立して動作を続けます。
映画では、このコンピュータが、ミサイルの管制システムを乗っ取って、人間に命令を下すようになります。
● 二つの超コンピュータの通信
また、冷戦が舞台ということで、米ソの二つの超コンピュータが出てきます。この二つのコンピュータが、通信して、互いの言語を形成し、共同で地球を統治しようとします。
その通信の様子が面白かったです。互いに簡単な計算式を送り合い、そこから徐々に複雑な計算式になっていき、計算式を使った言語を確立していきます。
こういう部分は演出次第だと思うので、上手い演出だなあと思いました。
● 映像が特撮テレビっぽい
映画は、古典的なSFっぽくてそれなりに面白かったのですが、絵作りがちょっと特撮テレビっぽくて、もう少し高級感があってもよかったのではないかと思いました。
● 粗筋
以下、粗筋です(だいたいの流れを書いています。大きなネタバレはないです)。
主人公は情報技術の博士。彼はアメリカの国防を担う超コンピュータを作る。その超コンピュータは、山の地下深くにあり、自給自足で稼働する。
そのコンピュータの稼働により、防衛は完全になるはずだった。しかし思わぬ誤算が起こる。コンピュータは、想定の十倍以上の性能を発揮する。そして、知能を持つ。
また同時期、ソ連でも同じようなコンピュータが開発されていた。二つのコンピュータは通信を要求し、アメリカとソ連の首脳はそれを許可する。
二つのコンピュータは、徐々に独自の言語を作り、そして会話をしだす。そして、ミサイル管制を乗っ取り、地球人類を支配下に置こうとする。
コンピュータが目指すのは、人間に権力を委ねない絶対的な平和だった。博士はこのコンピュータの暴走を食い止めるために奔走する。
しかし、コンピュータは、ミサイルの制御装置の置換や工場の建設など、独自の平和獲得のための支持を出し続ける……。
以下、ネタバレありの感想です。
● 意外な結末
映画のラストは、けっこう意外な結末になります。この手の話のラストは、人間が勝利して終わるのが常ですが、この映画ではコンピュータ側が勝利して、人間を強制的に支配して、世界平和を実現します。
そしてコンピュータを倒そうとしていた創造主の博士は敗北して、研究所を去ります。
珍しいタイプのラストだなと思いました。