映画「復讐するは我にあり」のDVDを十月中旬に見ました。
1979年の映画で、監督は今村昌平、原作は佐木隆三、脚本は馬場当。主演は緒形拳、父親役は三國連太郎、妻役は倍賞美津子、宿屋の女将役は小川真由美です。
よく出来ていました。特に俳優陣が出色です。ただ、140分と長いのと、ストーリーがそれほど一気に繋がっていなかったので、四日に分けて見ました。
あと、エロかったです。ずっとやりまくりでした。なので、子供と一緒には見られない映画だなと思いました。
● ノンフィクション
この映画は、昭和三十九年に逮捕された実在の人物、西口彰を元にしたノンフィクション作品の映画化です。
□Wikipedia - 西口彰事件□西口彰連続強盗殺人事件□西日本新聞 - 千年書房・九州の100冊 - 佐木隆三「復讐するは我にあり」 この映画の主人公は、犯罪者ではあるけれど、魅力的な人物として描かれていました。
特に後半の旅館での潜伏は、「ジョジョの奇妙な冒険」の吉良吉影を思い出しました。
● キリシタン
主人公はキリシタンの家に生まれながら、親に反発して奔放に生きていました。そして、殺人を犯す前も札付きの悪で、犯罪を重ねていました。
この家族については、映画を見る限り、キリスト教徒というよりは、キリシタンと書いた方が適切だと思いました。
それは、この家族の出身が五島列島の網元で、キリスト教の熱心な信者だったからです。
映画ではその様子が入っています。そして、キリスト教の世界にいる父子の憎悪と情念が展開されていきます。
そういったぶつかり合いを、息子役の緒方拳と、父親役の三國連太郎の演じています。その対立がなかなかよかったです。
● 榎津厳(えのきづ いわお)
しかしまあ、魅力的な人物になっているなと思いました。
DVDには監督のインタビューも入っていたのですが、監督もその魅力を絶賛していました。
とはいえ彼は犯罪者です。しかしそういった人物は、時に異様に魅力的だったり、もてたりします。
他人が躊躇するようなことでも、後先考えずに口にして実行する。そういった点がその魅力の一つなのではないかと、この映画を見て思いました。
● 緒方拳
よいです。非常に魅力的な主人公像を作っています。
あと、どうでもいいですが若いです。そして、顔が縦方向に潰れていません(映画館と縮尺が違うのか?)。
私の中では、緒方拳というと、顔が縦に潰れているというイメージだったので驚きました。
● 倍賞美津子と三國連太郎の濡れ場
ともかくエロいです。
倍賞美津子の裸が特に艶かしいです。モデルとかの体付きではなく、リアルに脂肪が乗った肉付きです。
さっぱり系の顔なのに、脱ぐとむっちりとしている。そのギャップが特にエロさを強調していました。
映画を見終わった後、ネットで調べてみると、絶賛している人がちらほらといました。かなりよいです。
あと、三國連太郎が大きくて丸くて熊のようで驚きました。老人の三國連太郎しか知らなかったので、こんなにでかい人だとは思いませんでした。
● 小川真由美の化けっぷり
「八つ墓村」(1977年)で、森美也子を演じていた小川真由美です。こちらの映画の方が二年ほど早いです。
しかしまあ、化けるなあと思いました。
「八つ墓村」では、ちょっと知的な中年に差し掛かった美人というキャラだったのですが、この映画では、少しおつむが足りない感じの、愛嬌のある、そして濡れ場の多いキャラを演じています。
しゃべり方から、立ち居振る舞い、雰囲気までまるで違いました。
途中まで、同じ人物だとは気付きませんでした。
● 粗筋
以下、粗筋です(長い話なので、大枠だけ書きました)。
昭和三十九年。五人の人間を殺害した凶悪犯が逮捕された。
彼は全国を縦断して逃走を続けた。ある時は大学教授、ある時は弁護士と職業を詐称しながら各地を転々とする。そして、多くの女たちと関係を持つ。
彼の実家は旅館を営んでいた。そして家族は五島列島の出身だった。彼らはキリシタンで漁師をしていた過去を持つ。
主人公は、幼少の頃、父親が軍部に屈服して船を差し出したことで愛想を尽かした。
主人公は、キリスト教徒ではあったが、神をそして信仰の徒である父親を否定していた。彼は、殺人を犯す前も、犯罪を重ねていた。
それは、親子の対立という側面を持っていた。