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2012年02月16日 18:42:32
ラブ・アクチュアリー
 映画「ラブ・アクチュアリー」のDVDを、十月下旬に見ました。

 2003年の英米合作映画。監督・脚本はリチャード・カーティス。出演は新旧の英国スター入り乱れという感じです。ヒュー・グラント、リーアム・ニーソン、 エマ・トンプソン 、アラン・リックマン他多数。

 脚本と製作スタッフは「ノッティングヒルの恋人」(1999)や「ブリジット・ジョーンズの日記」(2001)と同じです。

 クリスマス前後の男女十九人のラブストーリーを描く群像劇。もっとチャラチャラした映画かと思っていましたが意外によかったです。というか面白かったです。

 あと、アラン・リックマンは、気だるそうな、面倒臭そうな演技が非常に似合うなあと思いました。



● 群像劇

 群像劇は難易度が高いものですが、この映画は成功してます。

 成功の要因は、脚本・監督がきちんと仕事をしているということもありますが、最大のものは「英国の有名スターが多数出ていること」だと思います。

 この手の群像劇で一番大変なのは「誰が誰かを瞬時に認識させる」ことです。

 そこで、映画によっては、登場人物ごとにテーマカラーを決めて、背景やフィルムの色をその色で統一することで「登場人物の認識」を観客にさせます。

 でも、そういったことをしないでよい方法があります。

 それは、大物スターを多数使うことです。

 その人物を瞬時に認識できるような人物を多数配置すれば、人物認識の混乱を招かず、群像劇を描けます。

 こういった時に、有名な俳優は、本当に威力を発揮するなあと思います。



 さて、脚本の方にも触れておこうと思います。

 この映画が上手いのは「あまり複雑なことをしようとしていない」ことと「ユーモアが散りばめられている」ことです。

 個々の話自体はいたってシンプルで、全てのシーンにユーモアが盛り込まれています。これが、かなり楽しいです。

 人間の心の機微でくすりと笑うといった感じのユーモアです。

 たとえば、不倫している会社経営者が、奥さんとデパートに行った時のエピソードです。奥さんとちょっと離れた隙に、不倫相手のプレゼントを急いで買おうとするシーンなどは、その最たるものだと思います。

 奥さんが戻ってくるまでにプレゼントを包んでもらわないといけないのに、店員(ローワン・アトキンソン=Mr.ビーン)が非常にゆっくりと丁寧に仕事をして、やきもきさせられます。

 そういった、単純だけど楽しいユーモアが全編に散りばめられています。個々の話が軽く、それぞれユーモアで彩られている。

 言うはやすしですが、これは脚本を詰めるの大変だろうなあと思いました。



● ヒュー・グラント編

 ヒュー・グラントが、優男でちょっと頼りない、若手の英国首相を演じています。

 この頼りなさっぷりと、首相官邸で恋してしまって、仕事が手に付かないっぷりが面白かったです。

 現実なら「駄目だろう」と思う、恋の迷走ぶりですが、ヒュー・グラントが演じていると憎めないのがいいなあと思いました。



● リーアム・ニーソン編

 妻を失った夫が、その妻の連れ子の恋の協力をする話。

 ストレートによい話で、子供の言動にユーモアが溢れていてよかったです。子供は、いるだけでコメディーになるなあと思います。



● アラン・リックマン編

 実はこれが一番面白かったです。

 不倫している(しかかっている)会社経営者を、アラン・リックマンが演じています。

 気だるい感じで、「ああ〜」とかいうため息を飲み込んでいる様は、それだけでニヤニヤしてしまいます。

 何というか、「ギャラクシー・クエスト」(1999)の時の演技を彷彿とさせます。これだけでも、見る甲斐があるなあと思いました。



● 粗筋

 以下、粗筋です。

 クリスマス直前、イギリスの様々な男女が、それぞれの恋模様を見せる。

 英国首相や会社経営者、妻と死別した男性や、級友に恋する小学生、再帰に賭ける往年のロックシンガーなどが、それぞれの人生を送る。

 それらは、少しずつ他の人生に接点を持ちながらも、それぞれの結末を迎える。
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