映画「パリ、恋人たちの2日間」のDVDを十二月上旬に見ました。
2007年のフランス/ドイツ映画で、監督・脚本・主演はジュリー・デルピー。
結論から言うと、面白くなかったです。ただ、映画から色々と透けて見える部分があり、そこは興味深かったです。
● 粗筋
以下、粗筋です(先に書いた方がよい内容なので書いておきます。ラストのネタバレはなし)。
ニューヨーク在住の恋人たち──フランス出身のフォトグラファーの女性とアメリカンのインテリアデザイナー──がヨーロッパ旅行に行った。
彼らはベネチアに寄ったあとパリに入る。そこは、女性の故郷だった。
男性はそこで、彼女の家族に会い、パリ時代の友人に会う。
彼女は親の代から貞操観念がなく、パリ時代は友人たちとフリーセックス状態だった。そのことに男性はショックを受ける。
女性はそのことを取り繕おうとして嘘を吐きまくる。その浅い嘘は次々にばれて、彼女の嘘吐きの性癖が男性にばれてしまう。
彼女は、自身のそういった性格のために、これまで男性遍歴を重ねてきた。
そして、恋人の関係はぎくしゃくしていき二人の溝はどんどん深くなっていく。
● 恋人の男性が不憫
彼女の実家に行ったら、彼女が嘘吐きでヤリマンのビッチと分かって、その家族も似たようなものと知って、さらに慣れない旅先で下痢になり、言葉も通じず、テロに巻き込まれたり、誤認逮捕されたりといった感じでかなり不憫です。
映画の序盤では、どちらかというと男性の方が「ちょっと面倒な人間」という描かれ方だったのですが、皮をむいてみれば女性の方がその何倍も駄目な人間でした。
男性は大いにショックを受けて、その後……に至ります。
監督・脚本・主演が女性なので、女性向けコメディだと思うのですが、男性目線では、ちょっとなあと思う映画でした。
面白い、面白くないでは、圧倒的に面白くない映画というのが素直な感想です。
● これは自画像なのか?
ただ、興味深いなあと思ったことはあります。
監督のプロフィールなどを見ると、この主人公の女性と、ほぼ同じ年齢の時に脚本を書き、映画を撮っています。
そして映画中、映画の本筋には直接関係のない、過去への反省や吐露、自分の考え方、将来への漠然としたイメージなどが、主人公を通して語られます。
年齢が三十五歳で、子供を持つか持たないかといった部分も含めて、人生観がぽろぽろと出てくるのです。
そういった様子を見ながら「これは、自画像なのではないか?」と思いました。
なんとなく、三十五歳の自分の自画像と半生の反省なのかなあと思いました。
● フランス映画
フランス映画を観るたびに思うのですが、出てくる人がみんな「面倒くさい」感じの人です。
具体的に言うと、他人との協調性が皆無で、空気を読むといったことができない人たちばかりです。
そして、男女の仲はみんな乱交状態です。フリーセックスに近い状態です。
フランスは、本当にそんな感じなのでしょうか?
毎回謎に思います。