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2014年01月16日 14:10:40
女はみんな生きている
 映画「女はみんな生きている」のDVDを2012年の7月に見ました。

 2001年の映画で、監督・脚本はコリーヌ・セロー、主演はカトリーヌ・フロです。

 序盤は普通に見ていたのですが、中盤の過去編に入ってから以降が凄かったです。圧倒されました。面白かったです。

 以下、ネタバレありの感想です。ネタバレなしでは、感想を書けないタイプの映画ですので。

 あらすじを交えながら、感想を書いていきます。



● 日常

 この映画の主人公は、日常に倦んだ主婦です。

 会社を経営している夫は、主人公のことを家政婦ぐらいにしか思っていません。そして息子はふしだらで、二股を掛けていて、それを悪びれもしないような男に育っています。

 そういった、満足できない日常を抱えている女性が、この映画の主人公です。

 この映画では、この「日常」の側が、コメディ風に滑稽に描かれて、淡々と進んでいきます。



● 非日常との出会い

 主人公の女性は、夫の運転する車に乗っている時に、非日常に出会います。車の前に、急に娼婦が飛び出してくるのです。

 轢いたわけではない。でも、彼女はそこで倒れます。夫はトラブルを避けるために、そこから車を立ち去らせます。

 主人公は、娼婦のことが気になり、病院を探します。そして彼女の許に行き、献身的な介護を始めます。

 娼婦は衰弱しきっており、話すこともできません。どうも、彼女は何者かに狙われているらしい。

 主人公は、機転を利かせて彼女を助けたりしていく内に、ずっと黙していた娼婦が口を開き、生い立ちを語り始めます。



● 非日常

 中盤の、娼婦の過去編からが、この映画の真骨頂というべき部分です。娼婦となった彼女の壮絶な生い立ちが描かれ始めます。

 貧しい地域、再婚による複雑な家庭、女を結婚という形で売る人身売買、娼婦としての仕事、そこから逃れるために彼女が取った作戦、その結果のマフィアとの抗争、すんでのところで阻まれた資金奪取計画、自分と同じように売られようとしている妹、妹を救おうという姉の決意。

 そして、彼女の資金奪取計画はいまだ継続中で、主人公はその計画の協力者になる……。

 怒涛の展開の中盤以降、この映画は単なる「鬱屈した主婦が主人公」のコメディ映画ではなく、「スパイ物も真っ青」のハードな映画になっていきます。

 この部分が始まって以降、目を離せずに、食い入るように映画を見ました。圧巻でした。



● 日常からの脱出

 主人公は、娼婦と共に「何か」に挑み、そして自分の自由を手に入れます。

 全てが終わった後、満足を得た主人公の様子は、映画の開始時点とはまったく違う佇まいを見せます。

 序盤からは予想も付かないような地点に到達する映画ですが、非常に面白かったです。
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