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2018年06月23日 16:36:36
 少し前から、Twitterの名前の表記を「柳井政和@Steamゲーム開発者、小説家」に変えています。
そうした表記に変更した時、私の中で葛藤がありました。そのことについて書いておきます。




 そもそも私は、「何々である」と自分で名乗ることを好みません。どのツラを下げて、自分を「何々でござい」と名乗っているんだ、という気持ちになります。

 これは、名乗ることが「よい・わるい」ということではなく、私自身の個人的な感情です。自分の中で引いている線に達していないのに、そう名乗ることに、怒りや恥ずかしさがあるからです。

 別に、どんどん名乗ればよいと思うのですが、感情の問題なので、どうしようもありません。

 しかし、前述の通り、Twitterで「Steamゲーム開発者、小説家」のように名乗るようにしました。これは、純粋にビジネス視点での変更です。

 その商品がどんな商品なのか。それが端的に伝わらなければ、ビジネスはやりにくいです。自分という商品を認識してもらうには、名乗りが重要になります。

 そうした名乗りをしなくても、活動だけで分かってもらえればよいのですが、私の場合は難しい事情があります。




 私は器用貧乏です。興味の対象が次々と移り、そのたびに違うことをしています。そのため、周りから見て「何をしているのか分からない」という事情があります。

 よく、初見の人や、ある程度付き合いが生じた人から尋ねられます。「柳井さんは、どうやって生活費を稼いでいるのですか?」。言葉は違いますが、同様のことを聞かれます。

 そうした質問を受けるのは、私が「何をしているのか分からない」という問題があるからです。

「プログラムを書いている人」と認識している人もいれば、「ゲームを作っている人」と認識している人もいます。また、「マンガを描いている人」「小説を書いている人」など、それぞれの時期で、別人のように様々なことをしています。

 こうした私の行動は、ビジネス上とても不利です。専門分野がある人と違い、仕事の依頼がほとんど来ません。特定の分野の情報を集めている人から、注目されることもありません。




 専門家には仕事の依頼が入ります。あるコミュニティで上位の専門性を持たないということは、「複合的な能力でゲリラの戦いを強いられる」ことを意味しています。

 何かあって呼ばれるのは、専門家の上位数名です。それ以外は、仕事で呼ばれません。そして、器用貧乏なタイプは、どのジャンルでもその上位数名には入りません。

 まれに発生する、「複数の能力が必要な場合」に、「それぞれの専門分野の人を呼ぶ予算がない時」に、声をかけられる程度です。

 そうなると必然的に、発注者が自分で、製作者も自分という仕事の仕方になります。ニッチなプロダクトを作って、世の中に出していくという活動になります。これを称して私は「ゲリラの戦い」と呼んでいます。




 お金を得ることは、自由を得ることです。儲かるというのは大正義です。

 余剰資金があると、小銭を稼がなくてもよくなります。無駄な作業時間を使わず、日銭に思考のリソースを割かず、大きな創作物を、じっくりと腰を据えて作れます。

 また、ある程度の収入があると、精神的な余裕が生まれます。「前々からやろうと思っていたけど、今までできなかったこと」にチャレンジできます。

 そうした「今までできなかったこと」は、時間が足りなかったり、能力の蓄積が足りなかったりして、できなかったことが多いです。

 新しい挑戦は、今持っている能力の、少し上を目指すことが多いです。大きな成長が望めますし、新しい代表作になる可能性を秘めています。


 私は、自分の作った物を売るために会社を興しました。そして丸16年が経過しました。その間、ほとんど無収入の時期もありましたし、それなりに収入があった時期も経験しました。

 お金に関しては、収入が少ない時期よりも、収入が直前よりも減った時期の方が、精神的にきついということが分かりました。貯金の額は関係なく、定期的な収入が精神を支配します。

 そして、収入がある水準を切ると、新しい大きな挑戦が難しくなることも知りました。




 きちんと仕事を続けていくには、一定の収入が必要です。そして、収入を得るには、どんな仕事をしているのか認識してもらうことが大切です。その分野の仕事を、依頼しやすくする必要があります。

 そうしたことを考えて、その時期力を入れていることを表明しようと決めました。

 ちょうど名乗りを入れた時期に、「Steamのゲームを出していたこと」「小説の仕事をもっとしたいと考えていたこと」から、「Steamゲーム開発者、小説家」と、Twitterの名前に入れるようにしました。




 個人的には、小説の仕事をもっとしたいと考えています。そのためには、仕事の依頼がばんばん来るぐらい、大きく売れないといけません。なかなか難易度が高いです。

 それとは別に、儲からなくても小説自体は書いていくつもりです(実際に書いています)。

 というわけで、名乗りについて考えていたことを、つらつらとまとめてみました。
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