2006年02月17日 16:41:43
映画「白い巨塔」のDVDを1月中旬に見ました。
ドロドロして面白かったです。
主役の財前五郎(田宮二郎)がいい味出しています。あと、「金や金! 相手が権威で来るなら、こっちは金で勝負や!」の財前義父が、関西丸だしという感じのキャラでよかったです。
映画中、手術シーンの生々しさには驚きました。開腹シーンが何度もあるので、苦手な人は苦手だろうなと思いました。
あと一つだけ気になったのは、舞台が「ナニワ大学」のはずなのに、一箇所だけ「大阪大学」と言っていたことです。架空の設定の物語だったはずなのに、一箇所だけ実在の団体名が出て来るのはなぜなのでしょうか?
よく理由が分かりませんでした。
物語は、序盤〜中盤が「学内教授選挙」で、終盤が「誤診裁判」という流れでした。
この学内選挙のくだりは、最近ではマンガの「医龍」に、その系譜が如実に受け継がれていますね。
以下、粗筋です。(ネタバレが嫌いな人は読まないでください。まあ、有名な筋なので、大丈夫だとは思いますが。あと未確認ですが、作られたバージョンによって結末は違うようですね)
ナニワ大学の財前五郎助教授は凄腕の外科医。彼の上司の教授は来年の三月に定年退職を迎える。
野心溢れる財前は、その後釜に座ることを考えている。しかし教授は、五郎の独断的性格から、自分の学内への影響力がなくなることを危惧し、何かよい方法はないかと悩んでいた。
学内の教授選挙が近付いてきた。
教授は、東都大学の教授に相談し、外の大学から新しい教授を迎え入れることを決める。
しかし、そんなことで引き下がる財前ではない。彼は関西医師会の副会長の養父、そして他の教授たちを動かし、選挙の地固めを始める。
大学病院内では、熾烈な選挙戦が展開される。
その頃財前は、院内の他の助教授から一人の患者について相談を受ける。五郎はその患者の手術を自分が行なうことを決め、自分の患者として転科させる。
選挙は混迷を極め、財前はその工作に没頭する。戦いに勝った財前は至福のときを迎える。しかし、彼が託された患者は容態が急変して死を向かえた。
それからしばらく経ち、教授になった財前は医療過誤で訴えられる。原告は、五郎が転科させた患者の肉親だ。
裁判の場に臨んだ財前は、徹底抗戦の構えを見せる。そして裁判は進み、財前の処置が妥当だったか、医療過誤による殺人だったかを判断するための鑑定人が選出される。
その鑑定人に選ばれたのは、財前が選挙で戦ったライバルの黒幕とも言える、東都大学の教授だった。
ともかく、選挙戦の人間模様が面白かったです。
金で転ぶ奴、地位で転ぶ奴、そんなものには目向きもせずに我が道を行く者、潔癖を標榜する融通の利かない者。
様々な人間が、台風の目である財前五郎を中心として右往左往する。その様が皮肉たっぷりで愉快でした。
橋本忍脚本の映画のうち、同時期のものを幾つか見て気付いたのですが、この時期の脚本(ほかの時期は、黒澤明と組んでいた頃しか知らない)は、やたら序盤にナレーションが多いような気がします。
この人は基本的に、情報量の多い映画を作るのが好きなのかなと思いました。
原作物を手掛けているからなのかもしれませんが、最初に一気にナレーションで状況説明をすることが多いです。
映画の尺自体も長いので、やたら詰め込んでいる印象があります。
まあ、それで面白い作品が出来ているので結果的にはよいのでしょうが。
毎回、スタートダッシュは強引だなと思いながら見ています。