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2007年01月28日 15:04:20
 映画「マリー・アントワネット」を劇場で四日前に見ました。

 見た目的は、以下の二つ。

1. 実際にベルサイユ宮殿で撮影したという内装や調度品を大画面で見る。

2. 華麗な服を着た多数の人々を、どうやって画面内で見栄えよく描写するか確認する。

 今回は上記のような明確なテーマを持って観賞しました。



 さて、この映画は“色”に非常に特徴がありました。

 映画中には、多くの服や花、お菓子、調度品などが出て来るのですが、その配色はかなり練られています。

 基本的には、以下のルールがあるようでした。

・いわゆる「パステルカラー」と呼ばれる淡い色を使う。

・メインの色は「淡い青」と「淡いピンク」。

・メインの色を補うように、「淡い黄」と「少し赤味を混ぜた濃い黄(プログラムでは“ゴールド”と表現)」がある。

・緑や紫などの色はなるべく使わず、青、赤、黄で画面をまとめる。

・服、調度品、花、お菓子、ギャンブル道具など、全てを使って淡い華やかな画面を作る。

 私が見た限りのルールは以上です。

 こういった特徴のある“色使い”の中で、私は特に「青色の使い方」に注目しながら映画を見ていました。

 なぜならば、非常に美しい淡い青色の生地を使っており、それが形を変えながら、女性のドレス、男性の服など、随所で使われていたからです。

 この青は非常に目立ちました。

 そこで映画を見ながら、「いったい何という名前の青(もしくは生地)なのだろうか?」「この色使いは当時の流行なのか、それともこの映画独自の配色なのか」などと思いを巡らせました。

 これまでの個人的な印象として、フランス革命直前というと“文化の爛熟期”であり、それならばもっとけばけばしい色使いになるのではないかと考えていたからです。

 もし、こういった繊細な色を使っていたのならば、認識を改めないといけないです。

 しかし、冷静に考えるのならば、「青>ピンク>黄」の三つの色で画面を構成するように当時の人が服を作っていたわけがないので、映画独自の色(&配色)ということになるのだと思います。

 淡く儚い感じの、非常に美しい色使いで画面が構成されており、気持ちがよかったです。



 さて、少し「目的」の項に戻ります。

1. 実際にベルサイユ宮殿で撮影したという内装や調度品を大画面で見る。

2. 華麗な服を着た多数の人々を、どうやって画面内で見栄えよく描写するか確認する。

 1に関しては、「やはり華麗だな」と思いました。

 しかし、ドレスや飾り付けのレベルが非常に高かったために、建物自体は脇役に追いやられていました。まあ、正しい作り込みだと思います。

 2に関しては、前述の色の使い方が大きかったです。

 人をどう配置するかではなく、色をどう配置するか。そういった方向性で解決しているなと感じました。



 さて、映画は二つの部分に分かれます。前半パートと後半パートです。

 有名な歴史を題材にした映画なので、特にネタバレなどを気にせず書きます。

 前半パートは、マリー・アントワネットが輿入れしてきて、ルイ16世とセックスするまでです。

 後半パートは、子供が生まれて、革命が起こるまでです。

 感想としては、前半は非常に面白く、後半はぐたぐた感が強かったです。



 前半について書きます。

 前半は、まだ14歳のマリー・アントワネットが故郷を離れるところから始まります。

 そしてルイ16世の許に嫁いでくるのですが、このルイ16世が淡白なことから、ヤキモキするドラマが始まります。

 同じベッドに寝ているのにも関わらず、全く手を出してこないのです。

 やる気満々で嫁いで来たマリーは、自分の魅力が足りないのか、誘い方が悪いのかと散々悩みます。

 そして、「抱いてもらえない女」として周囲で陰口を叩かれながら、必死に頑張り、やがて疲れて遊びに没頭し始めます。

 ルイ16世は“狩り”と“錠前”にしか興味がない変人で、性的欲望が極端に薄い人として描かれています。彼はマリーを抱こうとしません。

 周囲の視線に耐え、母国からの催促にプレッシャーを感じながら、マリーはストレス解消のために散財を続けます。

 これがなかなか面白いです。

 まるで爬虫類のように感情の感じられないルイ16世相手に、空回りして奮闘するマリー。

 最初は母国とフランスとの文化の違いや王室の変なしきたりに戸惑いつつ、だんだん主導権を握って自ら遊び始める様子。

 華やかな画面とともに、目まぐるしく変わる環境とそこに適応していく思春期の少女が描かれていて楽しかったです。

 そして、マリーの兄がフランスに訪れ、ルイ16世に進言をすることでようやく彼女はセックスをしてもらえます(=仕事をさせてもらえるということです)。

 この間、どうも四年ぐらい経っているようです……。

「あー、本当によかったね」と、“お預け”状態のマリーを散々見せられていたので、素直にそう思いました。



 さて、後半です。

 後半は脚本がだいぶぐたぐたになります。

 たぶん、歴史を大胆に変えることができないので事実を並べたのだと思いますが、そのせいで話がまともにつながっていません。

 一番大きな問題は、マリーが将校と浮気をするのですが、このエピソードが映画の物語に何の寄与もしていません。

 そのことによって新たなドラマが生じることもなく、その話は何も生かされずに放り投げられます。

 例えば単純なやり方としては「夫婦仲が悪くなる→浮気→問題の顕在化→衝突→雨降って地固まる」という話の展開が考えられます。

 しかし、この映画では「初恋(前半で前振り)→浮気」で終わりです。何の展開もありません。これは脚本として問題あるだろうと思いました。

 また、後半はマリーの人格や、マリーとルイの関係がだいぶ変わります。

 しかし、その変化の切っ掛けとなるようなエピソードが薄いために、歴史をスポット的に追っているようにしか見えません。

 いや、実際、スポット的に追っているだけなのだと思いますが。

 前半の丁寧な機微の描写に比べて、後半のぞんざいな作りが非常に気になりました。

 個人的には、前半を膨らませて、後半は思いっきり端折って一本の映画にした方がよかったように思いました。

 何にせよ、前半の出来がよかっただけに、後半は少し残念でした。



 さて、今回主演のキルティン・ダンストについて書きます。

 私が彼女を覚えているのは、「スパイダーマン」のヒロイン役としてです。そのときの印象は「なんだか冴えない、顔の作りが角張った女優だな」でした。

「スパイダーマン」では、美人というよりは、田舎っぽい娘さんという感じでした。

 今回の「マリー・アントワネット」では、「ふわふわしたキュートな女性」になっていました。“可愛い”というよりも“キュート”という形容がよく似合います。

 犬が“くんくん”しながら擦り寄ってくるような感じで、少し鼻を前に出してふわふわした様子でカメラに近寄って微かに笑う。

 そういった仕草が非常に魅力的で、「ああ、自分を可愛く見せる見せ方を分かっているな」と思いました。

 もしくは、監督が違うと女性の可愛さの引き出し方が違うのかもしれません。

 今回は、女性のソフィア・コッポラが監督でしたので。「スパイダーマン」と違って、そういう面のレベルが高かったのかもしれません。



 こういったキュートな演技がよかったキルティン・ダンストですが、脱ぎっぷりもなかなかよかったです。

 映画中では、様々な裸のシーンが登場します。服の着換えシーンやベッドシーンなどです。

 この裸の撮り方がなかなかよかったです。

 単に裸を見せるのではなく、一部を隠しながら見せます。そのバランスが非常によい。

 特に、マリーが浮気をした際に、相手をベッドに誘うシーンがあるのですが、それがとてもよかったです。

 全身裸で、白いストッキングだけを付け、背中側から横向きに体を見せて、足をすらりと上げて相手を誘う。

 エロイなと思いました。



 監督のソフィア・コッポラですが、まだ「ロスト・イン・トランスレーション」しか見ていないので、他の映画も見てみようと思いました。

 今回、脚本が駄目でしたが、美術や衣装などのこだわりは非常に素晴らしかったです。

 また、「ロスト・イン・トランスレーション」では微妙な機微を描くのが非常に上手かったです。

 当たり外れはありそうですが、チェックするに値しそうだと思いました。



 少しだけ音楽について書きます。

 今回、「マリー・アントワネットの映画なのに、ポップスの曲をBGMに持って来ている」ということで話題になっていました。

 これは、違和感はまったくなかったです。

 映画(特に前半)は、「思春期の少女が青春を疾走する物語」でした。なので、そこにポップスを当てはめても特に問題はありません。

 それほど騒ぐことではないと思いました。



 最後に、どうでもいいですが、映画を見ているとケーキが食べたくなります。

 映画中では、花とケーキが様々に組み合わされて画面上に配置されています。

 これが物凄く華やかです。そして、どこまでが花で、どこからかケーキか迷うように盛り付けられています。つまり、花に負けないぐらいケーキが華やかなのです。

 当時、あんなに華麗なお菓子があったかどうかは知りませんが、ケーキバイキングなどに行って腹いっぱいケーキが食べたいなと思いました。
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