演劇「サマータイムマシンブルース2005」のDVDを三月中旬に見ました。
映画「サマータイムマシンブルース」の原作に当たり、ヨーロッパ企画という演劇集団の第18回公演に当たる作品です。
演劇ということで、場面は“一場面固定”なのですが、映画版と同じストーリーを、きれいに一場面で全て表現していました。
(逆に言うと、映画版は非常に原作に忠実。原作を上手く映画メディアのフォーマットに移植していたということになります。)
なかなか面白かったです。
以下、粗筋です。
とある大学のSF研究会とカメラ同好会。部員の減少したカメラ同好会は、いつの間にか進出してきたSF研究会の部屋の奥の暗室のみという狭い場所になっていた。
そんな関係のSF研究会とカメラ同好会だが、その仲は非常によかった。
夏のある日、SF研究会の面々は、カメラ同好会の女の子の依頼で、被写体となるためにグラウンドで野球をする。
そして銭湯に寄って帰って来た後、コーラーを零してクーラーのリモコンを壊してしまう。
そのクーラーは、リモコンなしでは操作できない古い型だった。
リモコンは直らない。リモコンの代えも型が古過ぎて入手困難。
そしてそれ以降、部室は灼熱地獄と化した。
翌日。
SF研究会の部員たちは、部室にいつの間にか、ドラえもん風のタイムマシーンが置かれていることに気付く。
これは冗談だろうということで、一人を乗せて、適当に操作すると、本当に動いてびっくりする。
帰ってきた部員は「昨日に行った!」と言い張る。そしてその証拠は、前日のグラウンドで撮影した写真に残されていた。
本物のタイムマシンであることが分かり、盛り上がる部員たち。
彼らはいろんな時間旅行を計画するが、危険過ぎるということで取りやめる。
結局決まったことは、昨日に行って、壊れる前のクーラーのリモコンを取って来ることだった。
そして、三人のSF研部員を過去に送り出す。彼らは「面白いぜ、お前らもこいよ」というメッセージとともに、タイムマシンだけを現在に送り返してくる。
その直後、残ったメンバーはタイムパラドックスの存在に気付く。もし、リモコンを取ってくると、未来が破綻する。
彼らは、過去に行ったメンバーが過去を変えることを防ぐために昨日に乗り込む。
それだけでなく、「タイムマシンに乗って未来から来た」という、もっさりとして青年も部室にやって来る。彼は未来のSF研部員だった。
時間改変を阻止せよ!
今日と昨日、現在と過去。行ったり来たりのドタバタ騒ぎが始まる。
そしてリモコンは遠大な時間の旅をして、ついにその寿命を全うする……。
出だしがちょっと分かり難く、少し首を傾げましたが、それ意外は非常によくできていました。
また、田村君が、演劇版と映画版で同じ役者なのもよかったです。あの“しゃべり”は非常に耳に残ります。
それに演劇版は、非常にテンポがよく、小気味よく進むので楽しかったです。
DVDには舞台挨拶などのDVD特典も付いていました。
収録した舞台は、福岡での最終公演らしく、席はほぼ満席でした。
しかし、その他の場所での公演は、三割ぐらいしか埋まっていない場所も多いらしく、演劇で食っていくのは難しいのだろうなと思いました。
時期はちょうど、映画公開当時だったそうなのですが。それでもそんなもののようでした。
特典には蔵出しショートコントや、企画会議(というか内輪トーク)も収録されていました。
ショートコントは、「苦悩のピラミッダー2」は面白かったですが、その他のは、まあまあという感じでした。
企画会議は、終盤、笑いを取りに行っているのでしょうが、ちょっと寒かったです。
やはり、演劇系の笑いは、“アドリブ的ネタ”よりも“よく練り込まれているネタ”の方がいいなと思いました。