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2008年03月19日 22:59:52
MONSTER
 アニメ「MONSTER」のDVDを二十三日前に見終わりました。

 浦沢直樹の同名マンガのアニメ化作品です。

 2004年4月6日から2005年9月27日の一年半に掛けて放映されました。制作はマッドハウスです。

 詳細情報はWikipediaに載っていますので、参考にして下さい。

□Wikipedia - MONSTER
http://ja.wikipedia.org/wiki/MONSTER

 TSUTAYAの半額の日を利用してコツコツと借りてきて、ようやく見終わりました。ちなみに、見た日は以下の通りです。

2007.04.13 MONSTER VOLUME 1.
2007.04.15 MONSTER VOLUME 2.
2007.05.14 MONSTER VOLUME 3.
2007.05.17 MONSTER VOLUME 4.
2007.05.19 MONSTER VOLUME 5.
2007.05.23 MONSTER VOLUME 6.
2007.05.23 MONSTER VOLUME 7.
2007.06.29 MONSTER VOLUME 8.
2007.07.02 MONSTER VOLUME 9.
2007.07.05 MONSTER VOLUME 10.
2007.07.09 MONSTER VOLUME 11.
2007.07.11 MONSTER VOLUME 12.
2007.07.13 MONSTER VOLUME 13.
2007.07.22 MONSTER VOLUME 14.
2007.07.22 MONSTER VOLUME 15.
2007.07.22 MONSTER VOLUME 16.
2007.09.12 MONSTER VOLUME 17.
2007.09.17 MONSTER VOLUME 18.
2007.11.09 MONSTER VOLUME 19.
2007.11.13 MONSTER VOLUME 20.
2007.11.14 MONSTER VOLUME 21.
2008.01.28 MONSTER VOLUME 22.
2008.01.28 MONSTER VOLUME 23.
2008.01.29 MONSTER VOLUME 24.
2008.01.29 MONSTER VOLUME 25.



 今回は、DVDを見る前に原作を予習しておきました。

 アニメは、非常に高度に原作を再現していたのでとても楽しめました。

 また、マンガではできない、アニメならでは(動画+音付き)の演出が多く、その意味でも楽しめました。

 以下、いくつか感じたことを書き留めておこうと思います。



 まず、最初に思ったのは「よく回転するな」です。

「回転する」とは、キャラの振り向きや顔の向き変えがやたらと多いことです。

 実写映画では当たり前ですが、人間は会話をしながら顔を動かします。興味のある対象に視線を向けたり、体を向けたりします。

 しかしアニメでは、振り向き演出を行うと作画枚数が多くなってしまうために、この演出は省かれることが多いです。

 しかし、この「MONSTER」では、予算があるのか、やたら回転します。

「すげー、回転しまくりだ」と思いました。

 ともかく会話シーンで回転する、回転する。

 ちょうど同じ時期に「バジリスク」のDVDの序盤も見ていたのですが、こちらはアクション物なのですが、実はあまり回転しません。

 二つを同時に見ることで、「MONSTER」がいかに回転しているのかに気付きました。

 頑張ってるなと思いました。

 作画崩れも発生しませんし(マッドハウスなので、そういった心配はしないでよいのでしょうが)。

 それに、手の描写もやたら多いです(ルンゲのせいとも言う)。これは、けっこう大変だと思います。動画でガシガシと指を動かすのは、作画能力が低いところでは難しいと思いますので。



 次に感じたのは「一人称視点の挿入」が多いことです。

 このアニメは、かなり視点を意識して作っているなと思いました。

 特に、画面中のキャラクターの意識が集中して、視野が狭窄する場面では、この演出が強調されます。

 登場人物の緊張と集中具合に応じて、世界の見せ方が変化していきます。

 リラックスしているシーンでは、視点は引き、視野は広がり、切羽詰っているシーンでは、視点は語り手の目に近付き、視野は狭まります。

 アニメは、割とこういった演出が少ないと思うのですが、「MONSTER」では積極的にやっているなと感じました。

 また、このおかげで、圧縮と解放のダイナミックレンジが広くなってり、後述の「泣かせ」の演出にも地味に貢献しているなと思いました。



 次はシナリオのことです。

 前半(序盤のセットアップが終わって以降の前半部分)は、一話完結型の泣かせ系シナリオになっており、非常に上手いなと感じました。

 毎回本気で泣かせに来ていて、かなり涙を流しました。原作では泣かなかっただけに、うまく演出しているなと感じさせられました。

 そこで、なぜ泣いたのかを考えました。マンガと違ってアニメでは、「間」を作り手がコントロールしやすいので、泣きのための溜めの演出が付けやすいのかもしれません。

 また、音楽など、情感を盛り上げる要素があるのも、大きいのかもしれません。

 あと、毎回、時間ぴったりによく整理して作れるなと思いました。まあ、プロだから当然なのでしょうが、それぞれ長さの違う話を、きれいに同じ分数で作るのは大変だと思います。



 このように前半は非常によかったのですが、後半は若干消化試合のような感じがしました。

 これは、後半は一話完結型の話ではなく、連続物の話になるのが大きいと思います。一話内で結論が出にくいので、感情が次回に持ち越しとなってしまい、感情の強弱が付けにくいからです。

 しかしこれは原作の構成に従っているので、仕方がないなとも思いました。原作でも、後半は話の密度が薄くなっているので。

 ただ、アニメの方が密度の薄まり方は少なく感じました。これは原作の問題点を認識しての構成なのかもしれません。

 後半を原作のままにやるとだいぶ冗長になってしまうので、この再構成は正解だと思います。



 以上のように、後半よりも前半の方が私の好みでした。

 しかし、最終話と最終話の一つ前は上手いなと思いました。既に原作を読んでから一年経っているので記憶があやふやなのですが、原作よりもクオリティがよくなっていると感じました。



 以下、最終話と最終話の一つ前の話で、上手いなと感じた理由を書いておきます。(以下、ネタバレです)

 それは、テーマの回収が明確に行われていることです。原作では、そういった印象を受けませんでしたが、アニメでは意図的に強調しているように感じました。



 この作品の主要テーマは「人間の命の価値は同じか?」というものです。

 物語の冒頭で、主人公のテンマはこの命題を突きつけられます。

 自分が救った相手が天才的な殺人鬼で、そのせいで多くの人が命を失ってしまう。

 この問題に対してテンマは「その相手を自分の手で殺す」という解決方法を考え、それを実行するために旅に出ます。

 しかし、テンマは「それは本当の解決方法なのか?」「人の命の価値は本当に違うのか?」という悩みを旅の間中抱え続けることになります。

 次々にテンマの前に現れる怪我人や病人は、物語を盛り上げる障害物であると同時に、テーマの再確認でもあります。

 そして、クライマックスで、MONSTERであるヨハンが銃弾で倒れます。

 ここでテンマは最後の選択を突き付けられます。「命は等しく救う価値があるのか?」

 テンマは本当は「価値がある」と思っています。しかし、事件のせいで「価値はないはずだ」と信じ込もうとしています。この「わだかまり」が解決すればテーマは解決し、物語は終了します。

 ここで、テンマの前に一人の少年が示されます。ヨハンを撃った男の子供です。「お父さんは殺人犯じゃない」その少年の父親を殺人犯にしないために、テンマはヨハンを再度救います。

 自分が「本来正しいと思っていた行為」に、理由付けをもらい実行します。そして長い旅が終わります。これでテーマは解決です。この部分が、非常に明確に描かれており、きちんと整理されているなと感じました。

 ここまでが、最終話の一つ前の話です。



 最終話は、物語が終了した後の話です。

 ここで、もう一つのテーマ、隠しテーマの解決を行います。

「MONSTERとは何か?」です。

 物語中では、MONSTERはヨハンのこととして描かれています。しかし、「Why?(なぜ?)」の部分が解決されていません。

 なぜヨハンがそういう人物になったかです。その断片は示されますが、明確な理由は語られません。

 最終話では、背後から鈍器で殴ったように、この答えが明かされます。

 周囲の人間は、生れ付きの能力や人格改造、実験的孤児院が原因だと考えています。

 しかし、本人にとって、MONSTERとなる切っ掛けとなったのはもっと本質的なものだった。そのことが示されます。

 ヨハンがMONSTERになった切っ掛け、「ヨハンにとってのMONSTER」が提示される。



 つまり、構造的には、物語全体のテーマの消化と、物語の謎の解決が、二段落ちのように提示される。

 これがきれいに整理されて示されていたので、原作よりもクオリティが上がったなと感じました。

 原作を読んだ時の印象では、終盤はかなり間延びしたような印象になっており、そういう部分が明確になっているようには感じられませんでしたので。

 そのため、アニメの方が、切れ味が鋭くなり、よくなっているなと思いました。



 全体的に感じた印象は、原作を再現しつつ、原作を叩き台にして、きちんと設計し直しているというものです。

 原作は雑誌連載のために、どうしても書いている時期が長期間になり、一貫性が失われやすくなります。

 対してアニメでは比較的短時間に全てを作成します。そのために全体を俯瞰して設計しやすいです。

 原作のよさを生かしつつ、原作の問題点を修正しながら、よりよい物を作るという姿勢が感じられて、見ていて安心して楽しむことができました。

 また、映像の演出が非常に上手いというか、手間が掛かっているのがよかったです。

 それが全てではないですが、きちんと効果的に働いている手間は、見ていて満足度が高いです。

 というわけで、非常に楽しめました。
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