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2010年02月09日 21:39:02
ミルク
 映画「ミルク」のDVDを、一月上旬に見ました。

 2008年の映画で、監督はガス・ヴァン・サント、脚本はダスティン・ランス・ブラック、主演はショーン・ペンです。

 なかなか面白かったです。



● ハーヴィー・ミルク

 アメリカで初めて、自らゲイであることを明らかにして、選挙で選ばれた公職者です。二回落選して、三回目にサンフランシスコ市の市政執行委員に当選しました。

 選挙のたびに支持者を広げていっての当選ですが、映画で描かれているところでは、三回目の選挙の前に、選挙区の区画整理が行われて、大選挙区制から小選挙区制に切り換わったのが大きかったようです。

 つまり、自分の支持者たちだけの小さなエリアで、選挙を戦えばよくなったわけです。

 映画を見ている限り、ミルクはぶれもあれば、コミュニケーションに失敗したりもします。そのせいで、同じ市政執行委員のダン・ホワイトによって殺されます。

 映画では、「そういったことをしたら、恨みを買うだろう」といったような、ミルクがホワイトの気持ちを考えないで行動してしまうシーンがあります。

 まあ、人間なので、全てがパーフェクトなわけではないです。そこが人間らしさで、虚像ではない実像なのだと思いました。



● ショーン・ペンの演技

 仕草や表情の端々まで、生粋のゲイに見えました。そんなにゲイについては知りませんが、素人の私でも「ゲイだよな」と思える人物造形になっていました。

 この映画は、実家で父親とともに見ました。父親は仕事中にラジオをよく聞いているのですが、福岡のラジオでは、映画評論家のおすぎが多くの番組を持っています。

 そのラジオで父親が聞いたという、「おすぎの『ミルク』評」が、なるほどと思いました。

 おすぎいわく「ミルクを演じているショーン・ペンは、非常にキュート」だそうです。

 ゲイの人から見て「非常にキュート」に見えるということは、素人から見て「ゲイに見える」という以上に「キュートなゲイのサイン」を発しているんだろうなと思いました。

 さすがに私では、そのゲイの演技がキュートなのか、そうでないのかまでは分りません。

 そういった、普通の人に見えないサインまでも演技として出来ているんだと分り、凄いなと思いました。



● マイノリティ

 ハーヴィー・ミルクは、ゲイの活動家ですが、その活動は「ゲイのみ」のための活動ではなく「ゲイを含むマイノリティ」のための活動だったようです。

 そういった部分が強調されているのが、映画の途中で、選挙スタッフが選挙事務所に、レズビアンの選挙参謀を連れてきて、ミルクが受け入れるシーンなのかなと思いました。

 実際問題として、弾圧されたり、抑圧されたり、権利が制限されているマイノリティは、団結しなければマジョリティとは戦えません。

 マジョリティは、相手が自分とは違う思想や習慣を持っていることで、社会から排除しようとします。

 こういった問題は、マイノリティ側が声を上げない限り、マジョリティは気付きません。なので、団結して声を上げることは非常に大切だと思います。

 しかし、団結には核となる人物が必要です。普通の人は、自分の生活を持っています。核になるためには、その生活を犠牲にする必要があります。そして、核となった人物は、マジョリティからの攻撃の矢面に立たなければならなくなります。

 団結の難しさは、こういった核となる人物に、誰がなるのかといった部分にあると思います。

 ミルクは凄い人物だったけど、いつの時代にもミルクが現れるわけではないですので。



● 今まさに日本で起こっていること

 映画では、ミルクたちは、ゲイたちを教職から追放する法律と戦います。法律で、人の思想や表現を制限しようとすることは、自己の思想で他者を統一しようとする、独裁や専制政治、全体主義の考え方です。

 これは古い問題ではなく、今まさに日本で起こっている問題です。

 自分にとって価値がない思想や表現を、自分が理解できないからといって弾圧しようとする行為は、人類の敵です。

 相手にナイフを向けるという行為は、自分もナイフを向けられることを前提にしていなければなりません。

 他人の思想や表現を禁止するという行為は、自分の思想や表現も同じように禁止されることが前提でなければなりません。

 他人の本を塗りつぶすのなら、自分が見る全ての文字や映像を塗りつぶすことを前提としなければなりません。

 そういった前提なしに、他人の思想や表現を制限しようとする人は、もう一度小学校から勉強をやり直した方がよいです。過去の歴史から何も学んでこなかったということですので。

 そういった、現在日本で始まっている弾圧のことを考えながら、私はこの映画を見ました。



● 粗筋

 以下、粗筋です(終盤まで書いています。歴史的な事実なので、特にネタバレなど気にせず書きます)。

 主人公はハーヴィー・ミルク。彼は真面目な銀行員で、ゲイであることを隠していた。彼は三十九歳の最後の夜に、新しい恋人を見つける。

 主人公は退職して、恋人とともにサンフランシスコに移る。そこはゲイが多くいる町だったが、警察や周辺住人たちからの弾圧もあった。

 その場所で彼は、徐々にゲイ・コミュニティの中心人物になっていく。そして、ゲイの権利を守るために、公職に就くことを決心する。

 彼は二度選挙に落ち、三度目で当選する。

 だが、政治に打ち込みすぎる彼の許を、恋人は去っていく。そして主人公は、新しい恋人を作る。

 公職に就いた主人公は、派手な発言で注目を集めながら、様々な政治活動を展開していく。世間では、ゲイを教職から追放する法律が通されるなど、逆風が吹いている。

 主人公の活動は徐々に実を結びだす。しかし、同じ市政執行委員との感情のこじれが、災いを呼び寄せる。ことあるごとに対立した末、その市政執行委員は辞職する。そして彼は銃を持ち、市庁舎へとやって来る……。
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