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2010年12月15日 14:23:45
2つの頭脳を持つ男
 映画「2つの頭脳を持つ男」のDVDを八月下旬に見ました。

 1983年の作品で、監督・脚本はカール・ライナー、主演はスティーヴ・マーティンです。

 90分のコメディ映画ですが、何気にSFホラーが主軸になっており楽しめました。



● 粗筋

 この映画は、先に粗筋を書いた方が分かりやすいので先に書きます。

 以下、粗筋です(ある程度のネタバレあり。終盤に入ったあたりまで書きます)。

 主人公は高名な脳外科医。彼は妻を亡くしていた。ある日、彼は一人の美女を車で轢く。彼女は富豪の妻だったが、富豪を殺して遺産を得ようとしていた。

 美女は新しい餌食となる夫を求めていた。彼女は主人公に好意を寄せる。訴訟にもならず、円満に収まるということで、二人の結婚を病院も支援する。そして二人は結婚した。

 しかし、新妻は夫に体を許してくれない。主人公は悶々とする。

 主人公は、学会に行くために妻と旅行に出る。二人の仲は破局寸前まで行く。しかしその地で、妻は夫宛の電話を受ける。その電話は、夫の親類が死に、遺産が入ってくるという内容だった。妻は急に夫に体を許すようになる。

 主人公はその地で、一人の科学者と出会う。彼も脳の研究をしていた。彼は殺人者を雇い、人をさらってきては脳を取り出して水槽で培養していた。

 主人公は彼の研究室で一つの脳と出会う。その脳は女性のもので、テレパシーで主人公に語りかけてきた。二人は気が合い、主人公は彼女に恋をする。

 主人公は脳を持ち出し、その地に研究所を構える。妻は、その脳に嫉妬する。そして、脳を焼き殺そうとする。脳は瀕死の状態になる。

 激怒した主人公は、脳を救うために、新しい体を手に入れようと考える。そして、妻の体に目を向けた……。



● SFホラー

 この映画ですが、映画のジャンルはコメディ映画ですが、その主軸はSFホラー映画です。異なる意図で、違う監督が撮ったら、そのまま重厚なSFホラーにすることができそうです。

 まさに、映画の作り方によって方向性が変わる好例だなと思いました。

 まあ、コメディ以外にしようとしたら、細かな部分は変える必要があるのですが、それでもそう思わせる骨格を持っている映画でした。

 逆に言うと、「コメディの味付け」というのを強く意識させられる映画でもありました。

 特定のストーリーを、コメディとして書き換える際に、どういったアプローチが取られているのかがよく分かるものでしたので。

 この映画のコメディの味付けは、映画内部の人間はいたって真面目なんだけど、その表現がずれていることによって生み出される妙味でした。

 分かりやすい部分を抜粋すると、脳外科医主人公が新しい奥さんに早く会うために、患者を二人並べて手術をするとか、脳の手術をやりやすくするために、ネジ巻き式に頭蓋骨を削って、頭骨を着脱可能にするとか、脳とボートでデートするとかです。

「おいおい」と突っ込みどころ満載のことを大真面目にすることで、この映画では面白みを作り出していました。



● 何となく憎めないコメディ映画

 この映画、何となく憎めないんですよね。

 骨格がSFホラーとして「あるある」と思わせる内容で、実はそこの部分はけっこう丁寧に作ってあります。

 その上で、「裸の銃を持つ男」(1988)ばりのギャグで全面をコーティングしています。

 人によっては、くどくて辟易するかもしれないですが、私は楽しめました。

 強いて見る必要はないですが、見れば見たなりに楽しめる映画だなというのが、私の感想です。



● ラストのオチ

 好みの心+美女の体という合体が成功するか否かが、ラストのサスペンスになるのですが、上手くオチを付けていました。

 ここをストレートに「きれいな心+美しい体」にしていると、ちょっと後味が悪い映画になってしまいます。なので、これは割とありなラストだなと思いました。
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