2010年の読書のまとめ11月分です。
星による評価の基準については前述の通りです。
● 2010年11月(2冊/計37冊)
■14 こころ(夏目 漱石)★★★★☆ 有名な作品ですが未見でした。というか、夏目漱石をまともに読んだ記憶はありません。
というわけで、代表作の一つの「こころ」を読んでみました。
なんだ、面白いじゃないか、というのが私の感想です。
構成的には、前半が「現代の話」で、後半が「手紙」となっていて、かなり大胆に話が転換します。
「現代の話」では、徹底的に「焦らし」のテクニックで、読者の「先生」に対する興味を引っ張り、紙数を稼いでいきます。
「手紙」では、その引っ張ったネタの内容を丹念に描いていきます。
この作品は、たぶん新聞連載ですよね。前半の部分は、ほとんど話が動かないので、かなりの力技だと思いました。
連載当時は、毎回話が進まずに、やきもきさせるだけさせておいて「続きは来週」とか、やっていたのだと思います。
後半の話に関しては、かなりモヤモヤとした気分にさせられます。友人のキャラや、それに対する先生の心の動きや、恋愛での対立やら。
実際問題として、先生がここまで繊細で脆いのは行き過ぎの気もしますが、それでもきれいに話が落ちたなあと思いました。
焦らしのテクニックも含めて、面白かったです。
■14 イリヤの空、UFOの夏〈その1〉(秋山 瑞人)(★★★☆☆)
4巻分まとめて感想を書きます。
序盤から中盤で丹念に学園青春コメディを積み重ねていき、終盤で畳みかけるようにして、壊れた世界と絶望を描いていく。まさに、落差の見本のような作品です。
終盤に明かされる、物語開始の「理由」も含めてよくできているなと思いました。
個人的には、SFパートよりも、学園青春コメディの部分の方が、実は書くのは難しいのではと感じました。
ここらへんは、ロジックで埋めていくというよりも、感性みたいな部分が要求されると思いますので。