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2013年09月03日 12:06:50
オール・ザット・ジャズ
 2012年2月に「オール・ザット・ジャズ」のDVDを見ました。

 1979年の作品で、監督はボブ・フォッシー、脚本はロバート・アラン・アーサー、ボブ・フォッシー他、主役のギデオンはロイ・シャイダーが演じています。

 晩年のボブ・フォッシーが、死期を宣告されて執念で作り上げた自伝的作品だそうです。

 見ている間、徐々に心がずーんと重くなっていき悲しくなり、映画が終わると、心が沈み、精神的疲労を覚える内容でした。

 タイトルからして、もっと楽しい映画かと思っていましたが、真逆の映画でした。

 決して「面白い作品」ではないですが、強い印象を残す作品でした。



● イッツショータイム

 主人公のギデオンは、心臓の病で死期が近付いています。

 彼は毎日起きるたびに、洗面所の鏡の前で、薬を飲み、目薬を差し、そして皮肉そうなポーズで「イッツショータイム」と呟いて一日を始めます。

 映画では、このシーンが執拗に繰り返し出てきます。

 最初の方は、このシーンに何の色も付いていなかったのですが、どんどんこのシーンの色合いが変わっていきます。

 主人公は死期が近付き、周囲にそのことを秘密にして仕事をします。そして、作品は評価を受けず、心臓の手術で倒れます。

 主人公は、これまでのように女好きの振る舞いを続け、まるで何物も恐れないように陽気に振る舞い続けます。

「ショービジネスの世界」にどっぷりと浸かった主人公が、そういった自分の一日を始めるに当たって言う言葉。「イッツショータイム」

 そのシーンが痛々しく、悲痛で、異様な色を帯びてくる様がすさまじかったです。



● 指の間から物事が零れ落ちる感覚

 たぶん、二十代の頃にこの映画を見ていたら、あまり何も感じていなかったと思います。

 三十代も半ばを過ぎ、自分の人生の意味とか、自分が社会に残す評価とか、余生でできる仕事とか、そういった事を考えながら生きるようになってくると、この映画がぐっと心に来るのではないかと思います。

 この映画の主人公は、二つの仕事を抱えています。

 一つはミュージカルの演出で、もう一つは映画の監督です。

 ミュージカルの方は、なかなか上手いアイデアが出ず、出てきたものは出資者に卑猥だと言って拒絶される始末です。

 映画の方は、編集段階になっており、なかなか満足できるレベルにならず、少しずつ改良を続けている段階です。

 映画は、結局、出資者側が資金の追加投入を絞り、満足のいかないまま勝手にリリースされて、批評家の酷評を浴びます。

 ミュージカルの方は、病に倒れた後、代役の演出家に仕事を持っていかれそうな状態になります。

 自分の抱える仕事が、望むような形にならず、ぼろぼろと指の間からこぼれ落ちていく。そして、自分の人生の時間が凄い勢いで過ぎ去っていく。

 三十以上の人間なら、誰もが体験したことのあるような気持ちではないかと思います。

 そういった感情に「自分の死」というリミットを絡めており、かなり重い気持ちになりました。



● ミュージカルシーン

 かなり異様な雰囲気(臨死体験+走馬灯)を思わせるミュージカルシーンが、心象風景として随所に挿入されます。そして映画ラスト近くでは、夢と現実が混濁するような状態になっていきます。

 たぶん、欧米系では受けのよい演出なんだろうなと思いました。

 日本人には、ちょっとアクが強いと思います。

 ともかく、異様な雰囲気だけは、強く伝わってきました。



● 粗筋

 以下、粗筋です(見る人によって、受け取り方が変わる映画だと思います)。

 主人公はミュージカルの演出家。彼は心臓に病を抱え、死期が近付いている。だが、そのことを黙って仕事を続けている。

 主人公は、ミュージカルの演出を続けるが、思うような成果を出せない。また、映画の監督もしており、編集を重ねているが、望むレベルの物に達さない。

 そんな折、主人公は心臓の病で倒れ、緊急手術を受ける。

 その間に、全ての仕事が、自分の手からずるずるとこぼれ落ちていく。彼は気丈な振りをして、女と酒を楽しむように振る舞う。

 だが、本当の死が近付いて来た時に、彼の自我は夢と現実の間に崩れていく。
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