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2013年09月12日 21:14:29
ヤング≒アダルト
 映画「ヤング≒アダルト」のDVDを、2013年6月に見ました。

 2011年の映画で、監督はジェイソン・ライトマン、脚本はディアブロ・コディ。この二人は、アカデミー賞脚本賞に輝いた「JUNO ジュノ」の監督・脚本コンビです。

 監督のジェイソン・ライトマンは、父親が「ゴーストバスターズ」(1984)の監督/製作の人だそうです。この監督の撮った「サンキュー・スモーキング」(2006)、「JUNO/ジュノ」(2007)、「マイレージ、マイライフ」(2009)は、それぞれ面白かったです。

 今回の「ヤング≒アダルト」も、なかなか面白かったです。そして、見る人の立場によって、感想が180度変わる映画だなと思いました。

 あと、主役のメイビス・ゲイリーは、シャーリーズ・セロンが演じています。美人でよかったです。



● あらすじ1

 以下、ネタバレなしの、序盤のあらすじを書きます。

 主人公は37歳のバツイチの女性。ヤングアダルト(日本のコバルト文庫みたいなの?)のゴーストライターをしていて、人気シリーズを書いていたけど、今は少し落ち目で連載の完結編を書かないといけない状態になっている。

 彼女は美人で、田舎の高校時代は女王様のような存在だった。彼女は、都会(ミネアポリス)に出て、自由奔放な生活を送っている。

 ある日、彼女の許に、高校時代の彼からメールが届く。結婚して子供が生まれたから、パーティーに来ないかというものだった。そのメールには、ご丁寧に赤ん坊の写真も添えられていた。

 このメールの意図は、何なのだろう?

 彼女は、同じく都会に来て、キャリアウーマンとして働いている女の友人に、メールのことを相談する。

 主人公は色々と妄想を膨らませて、仕事が上手く行っていない現状の逃避も入り、「彼は運命の人で、復縁を望んでいるのではないか」と思考を飛躍させる。

 そして、車に乗り込み、田舎に行き、ばっちりメイクをきめて、元カレに対してアタックを開始する。

 その様子をたまたま目撃した同級生の男が、彼女の暴走を止めようとする。彼は、デブでオタクで、高校時代にスクールカーストの最底辺にいた。

 彼は高校時代、ゲイと疑われて、スクールカーストの上の人間達から暴行を受けていた。その暴行で、頭蓋骨を骨折させられ、性器を含めた下半身に障害を負い、杖の生活になっていた。

 彼はフィギュアと密造酒を愛するオタク道を今も邁進しており、酒好きの主人公の飲み相手になる。
 オタク男は「元カレは今幸せなんだから、変なちょっかいを出すな」とたしなめる。しかし主人公は聞く耳を持たない。

 主人公は、「元カレが復縁を望んでいる」という妄想を膨らませて、破天荒なアタックを続けていく。



 さて、この映画は、いくつかのテーマを持っています。

 一番大きなものは、タイトルにもある「ヤング・アダルト」です。高校時代を引きずって、大人になりきれない大人というものです。

 主人公は、高校時代の恋を引きずり、オタク男は、子供の趣味と思われているオタク趣味を続けています。大人になりきれていない大人。

 そのことに対して疑問を投げ掛ける。そういったテーマを持っています。



 次のテーマは「スクールカースト」です。

 高校時代に、スクールカーストの頂点だった人間と、底辺だった人間が、ひょんなことから一緒に行動することになる。そのちぐはぐ感。遠かった存在だからこそ、互いの意見をぶつけられるという奇妙な関係。

 この二人は、高校時代に荷物のロッカーが隣だったという縁を持っています。しかし、主人公は、ほとんど気にもとめていませんでした。

 そういった諸々から、スクールカーストを掘り起こしていく部分も一つのテーマになっていました。



 この映画には、もう一つカーストがあります。それは、「文化カースト」とでも呼ぶべきものです。

 オタク男は、アメコミのフィギュアを趣味にしています。その彼の家に来た主人公が、フィギュアを見てそのことを話題にした時、彼は「女の子のフィギュアはないよ。あれは変態が扱うものだから」と言います。

 また、主人公はゴーストライターとはいえ、ヒットシリーズを執筆した小説家です。しかし、そのジャンルがヤングアダルト(少女物)の小説なため、田舎では「子供の仕事」として軽んじられています。彼女は「大人の仕事をしていない」と思われています。

 大人がやるべき趣味。大人がやるべき仕事。

 そういった多様性の少ない田舎社会の価値観による「文化カースト」が、随所に出てきて、考えさせられます。



 そして、この映画を見ていて、自分の立場から一番強く心に残ったのは、「田舎在住者 対 上京者」という対立です。

 上京して、自分の能力だけで人生を切り開き、今は上手くいっていないけど、十五年間社会人として徒手空拳で自分のキャリアを作ってきた主人公。

 その彼女に対して田舎の人間が、「現在結婚しておらず、子供もいない、かわいそうな女性」というレッテルを勝手に貼る。

 映画の途中までは、「主人公がハチャメチャなトラブルを引き起こすのは、ひどいし痛々しい」と思いながら映画を見ていました。

 しかし映画をラストまで見た後、「いや、でも、この主人公は、よくやっているし、凄いよ。十五年も、自分の腕だけで稼いで、生活してきたんだから」と思いました。

 それに対して、生まれた場所から一切出ず、「自分の価値観だけが正しい」と思って人生を終える田舎の人間。

 彼らに対して、自分のように「上京して仕事をしている人間」としては、ちょっと相容れないなと感じました。

 映画を見終わった後、「自分は主人公の側の人間だし、主人公に強く感情移入する」と感想を持ちました。

 でも、この感想は、立場によって大きく変わるでしょう。

 田舎の側の人間は、主人公のことを「かわいそうな人間」と思い、映画を見終わると思います。

 この映画には、そういった価値観の違いを、まざまざと見せつけられる瞬間が、映画のラスト付近に用意されているからです。

 その部分の粗筋(ネタバレあり)を書き、それに対する私の感想を書こうと思います。



● あらすじ2

 元カレに対してアタックを続ける主人公。その彼女に困惑する元カレ。そして、その様子を、痛々しい目で見て、どうにか止めようとするデブのオタク男。

 そんな主人公の許に、元カレから電話が掛かってくる。

「子供の命名式のパーティーが週末にあるので来るかい」と。主人公は、元カレが自分をパーティーに呼んでくれたと思い、勇んで元カレの家に行く。

 主人公は、元カレを二人だけの場所に連れ込み、復縁を迫る。元カレは怒って、主人公に帰るようにと言う。

 パーティーの会場に戻った主人公は、大勢の人の前で、「都会で暮らしている彼女に、なぜパーティーに来ないかというメールが届いたのか」を明かされる。

 元カレの妻が、「現在結婚もしておらず、子供もいない主人公は、かわいそうな人だからパーティーに呼んだ方がいい」と夫に言い、夫である元カレが、言われるがままに主人公にメールを送ったからだった。

 主人公は激怒して、罵声を放ち、呪詛の言葉を吐いて、その場を後にする。

 そして、オタク男の家に行き、大泣きして、彼と一夜を過ごす。

 朝になり、主人公はオタク男の家の台所に行く。そこにはオタク男の妹がいた。彼女は高校時代から主人公に憧れており、今も彼女の熱心なファンだった。

 主人公は、彼女に対して、自身を喪失した台詞を吐く。そして、私は変わらないといけないのかもしれないと呟く。

 しかし、オタク男の妹は、主人公は変わらないでいい。今のままでいいと言う。

 主人公はその言葉に勇気をもらい、田舎を後にして、再び仕事の待つ都会へと向かう。



 主人公を「自分の道を取り戻した」と見るか「敗北した」と見るかは、映画を見る人の立場によって大きく変わると思います。

 私はこの映画は、「自分自身の生き方をする」ことに対して、背中を押していると感じました。



 しかしまあ、映画をラストまで見終わった所で、元カレと妻の行動は「ないわ」「それは最悪だわ」と思いました。

 まず、元カレの妻について。

 勝手に自分の価値観で、相手を「かわいそうな人」認定して、「幸せで、立場が上の私が、あなたに手を差し伸べる」という構図で、主人公に接している。

 さらに、彼女は主婦バンドをしていて、その仲間が、高校時代の主人公のことを嫌っている台詞が出てきます。

 映画中では明確に描かれていませんが、下手をすると、元カレの妻は、意識的にか無意識的にか、主人公をはめようとしています。

 彼女は、元カレである夫にメールを送らせて、「元カレが他の女性と幸せに家庭を作っている場所」に主人公を呼び、その状況を見ることを一番嫌がるであろう主人公に対して「喜びのおすそ分け」をしようとしている。

「これはないわ。計画的クズだわ」と思いました。

 また、元カレもひどいです。そういった構図になるであろう妻の提案を、何も考えずに受け入れて実行して、元カノをサンドバッグ状態にする場に引きずり出そうとしている。

 それも、映画のラスト付近の修羅場シーンで出てくる台詞によると、主人公は若い頃に、元カレの子供を3か月で流産しているというし。

 これは、配慮なさすぎ。能天気すぎ。鬼畜の所業です。



 というわけで、映画の途中までは「主人公ひでえ」という感じでしたが、終わってみれば「主人公が被害者だった」と180度印象が変わりました。

 そういった逆転があるというのは、よい映画だなと思いました。

 しかしまあこの映画は、見る人によって、感想も評価もことごとく違うだろうなと感じました。
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