2006年07月21日 12:22:23
OVA「THE COCKPIT」のDVDを六月中旬に見ました。
松本零士の戦場まんがシリーズをアニメ化したものだそうです。「ライト・スタッフ」とともに、太郎さんから借りました。
DVDは全三話。それぞれ違う監督が手掛けており、映像特典として各監督と松本零士のインタビューが収録されていました。
というわけで、いつものように運動をしながら見ました。映画ではなく、純粋にアニメ(一話完結で24分)なので、まあこんなものだろうと思いました。
以下粗筋です。(それぞれ終盤ぐらいまで書いています。ネタバレが嫌いな人は飛ばしてください)
● Vol.1 「成層圏気流」
(監督:川尻 善昭/キャラクター・デザイン・作画監督:川尻 善昭)
第二次大戦。ドイツ空軍のパイロットであるラインダースは高高度で敵機に遭遇する。そして彼の仲間は瞬時に撃墜される。
「高高度性能で劣る愛機では、この戦いに勝ち目はない」そう判断した彼は飛行機を捨てて脱出する。それ以降彼は“卑怯者”の汚名を着ることになる。
そんなラインダースの許に、汚名返上の機会がやって来る。かつて自分が師事していた物理学者とその娘がV2ロケットの発射基地に行くのを護衛するという仕事だ。
「ある物を運ぶ」
そう言われた彼は、それが何であるのかに気付く。かつて恋仲だった科学者の娘はラインダースに言う。「これを最初に使った者は、悪魔に魂を売り渡すことになる」と。
彼女はラインダースに、自分の望みを告げる。
そして輸送途中に敵機がやって来た。彼は護衛するか否か悩み、ある決断を下す……。
● Vol.2 「音速雷撃隊」
(監督:今西 隆志/キャラクター・デザイン・作画監督:川元 利浩)
第二次大戦末期。ロケット推進の特攻機「桜花」のパイロット野上少尉は、敵に体当たりする機会を得られず戦場から帰還する。
圧倒的戦力差の前に、敵戦艦に近付く前に護衛の戦闘機が撃墜されてしまったからだ。
野上は再び桜花に搭乗して敵戦艦への特攻に臨む。かつてロケット工学を志していた野上にとって、その兵器ほど悲しい“ロケット”はなかった。
「それならば、せめて自分の手で」
そう思い彼はこの任務に志願していた。雲霞のごとく群がる敵戦闘機の合間を縫って、彼の特攻は成功するのか……。
● Vol.3 「鉄の竜騎兵」
(監督:高橋 良輔/キャラクター・デザイン・作画監督:斎藤 浩信)
第二次大戦、レイテ島。撤退戦の始まったその戦場で、日本軍兵士古代一等兵は一人の少年兵に出会う。
少年は軍用サイドカーに乗っており、既に敵軍に押さえられたであろう飛行場に「帰還する」という。
かつてレーサーだった古代は、その少年とともにその場所へと向かう。
彼は既にこの戦場から戻れぬ予感があった。そして古代は、人生において一つだけやり残したことがあった。
彼はレーサーだったが、ゴールまで完走したことがなかったのだ。
彼は飛行場を自分自身の人生のゴールと定め、最後のレースに挑む。しかし、その場所に近付くにつれ、敵は密度を増し、前進は困難になっていく……。
個人的な感想は二点。
・各話の作画のクオリティのばらつきが大きいのが気になった。
・脚本はもう少し改善できると思った。
でもまあ、多分見る人のメインの目的は“メカを見ること”と“松本零士ワールドを見ること”にあると思うので、そういう部分はよいのではないでしょうか。
メカに関しては、当時の兵器に関しての軍事知識がないので、何とも言えなかったです。
三作の評価は以下の通り。
「成層圏気流」>「鉄の竜騎兵」>>「音速雷撃隊」
「成層圏気流」は、まさに松本零士という感じで、絵も話もイメージ通りでした。
「鉄の竜騎兵」は、ちょっとやぼったいものの、まあありかなという感じでした。
「音速雷撃隊」は、物語としていろいろと粗が目立ち、作画クオリティが低いのが気になりました。
どうでもよいのですが、インタビューで「音速雷撃隊」の今西隆志監督の話を聞いていて、「この人は真性のマニアだ」と思いました。
「映画の資料収集として、桜花を吊り下げていた飛行機の資料を探していて、なかなかないなあと思っていたら、自分の部屋から出て来たんですよ。たぶん、中学生ぐらいの頃に買ったものだと思います。記憶は定かではないですが、松本零士先生のマンガに影響された買ったのではないだろうかと思うんです。そうやって出て来た四、五冊の本を……」
といったようなことを話していました。
「飛行機は詳しくないので、地上を走る車に……」と申し訳なさそうに語っていた高橋良輔監督と好対象でした。